はじめに

何を隠そう私、水族館大好き人間でして、国内の水族館の90%は既に訪問しております。旅行に行くと最初に探すのは水族館というほど水族館が好きです。そんな水族館大好き人間の楽しみ方を紹介します。
本州最北の水族館。青森県の浅虫水族館
アクセス・営業時間・料金

浅虫水族館は青森市から車で東に20分。青森空港からは40分くらいの浅虫というエリアにある地方水族館です。
営業時間は9:00~17:00 一般的な営業時間です。
料金表も大人1030円。小中学生510円。幼児無料です。年パスでも大人2610円と海遊館や美ら海水族館と比較すると半額程度の良心的値段です。ちなみにイルカパフォーマンスは15:30ごろ最終公演です。これが終わった後だと更に安くなります。なおJAFカードを持って行くと割引が適応されます。
地方水族館としては順当な価格設定だと思います。

個人的評価
個人的評価は総合A級水族館です。1から5点で4項目をランク付けしています。
飼育生物の特異性:青森らしい展示がいい | 4 |
生物のコンディション:すごいいい | 5 |
展示方法:ふつう。古い水族館ですからね | 3 |
価格満足度:1030円でこのクオリティは十分満足 | 4 |
総合:A級水族館リピートしていいと思う。 | 4 |
再訪問する価値のある水族館であることは間違いありません。お得な水族館です。(私見)
エントランス
それでは4点A級たる理由を紹介していきます。

外観はこんな感じの水族館です。コンクリートに入る雨跡に歴史を感じます。風体は良くある地方水族館そのものです。

入口のウェルカメ(笑)こういうところにも歴史ある水族館の趣を感じてしまいます。

そして本当にウエルカメしてくれます。最初の展示生物はウミガメです。
グッときた展示・生き物
実際に展示生物で感動したものを紹介します。選び方に私の嗜好が全開で現れています。まず最初に素晴らしいなと感じたのは入って早々にホタテやマボヤの展示に全力を注いでいる点です。
ホタテの展示


一般的な感覚では人気生物を持ってくるのがベターかもしれません。しかし、水族館は研究&教育機関的な側面を持っているので、その地方地方の特産品にフォーカスした展示は重要だと私は考えています。
一般的な生物なら都心の大きな水族館に行けば見れますからね。地方水族館はこういった点でしっかりと差別化しないと意味がありません。浅虫水族館は都心の水族館との差別化を徹底している様に感じます。
青森県って実はホタテの養殖日本一の県なんです。あまり知られていないですよね。中でも浅虫近海は最も養殖が盛んなエリアです。浅虫水族館が展示することは非常に大きな意味があります。

これはホタテの採苗器です。
ふ化直後のホタテは海をさまよっていますが、安心できるポイントを見つけると付着し定住生活に移ります。この採苗器はホタテに安心できるポイントを与えることで、定着させ小さな稚貝をあつめるための装置です。

ある程度、成長したホタテはこんな籠(ネット)に入れてさらに成長させます。

その後、さらに大きくなると貝がらに穴をあけて耳づりと呼ばれる方法でもっと大きく成長させてから出荷されます。
青森の養殖ホタテは非常に大きく甘いので、めちゃくちゃオススメです。今ならふるさと納税の返礼品があるのではないでしょうか?浅虫、平内町のふるさと納税をチェックしてみてください。
ホヤの展示
ホタテのそばではマボヤの養殖も良く行われております。水族館でもしっかりマボヤの展示が一緒にしてあります。

北国以外ではあまり食べられず、くせのある食べ物のホヤですが、甘味・酸味・苦味・旨味・塩味を一度に味わうことが出来るレアな食材なんです。
当然神経細胞は興奮しまくります。その状態が美味しいと感じた人は間違いなくハマります。全体的には合わない人も多い食材ですが、食べたことのない方はチャレンジしてみてください。
日本酒に非常に合います。
エゾハリイカの展示

他の生物を見ていく中で、『魚!!!(うぉ!!!)す魚(ギョ)い!!』と思ったのはこちらのイカ。エゾハリイカって言います。コウイカの仲間で、12センチほどの小さなイカです。コウイカとしては最北種ですが、そんなに珍しい形はしていません。
しかしながら求愛方法が変わっているイカとして、水産界隈で一時期話題になっていました。なんとハートマークを作って求愛するんです(´◉◞౪◟◉)♥
帰ってから調べて分かったのですが、求愛行動を発見したのも浅虫水族館だそうでYouTubeに動画が有りました。
私が興奮したのはこのあたりの展示です。変ですよね( ´∀` )まぁ水族館に関して変態なのは自負してますので大丈夫です。
あ、目玉生物はまだ紹介していません。つづいて目玉これじゃん!!と思った生物を紹介します。
目玉展示の生き物
目玉だ!と断言できる生物を続いて紹介します。
恐山ウグイ

ウグイです。
『は?』って思ったと思います。ウグイなんてどこにでもいるじゃねーかとキレている姿が目に浮かびます。でも間違いなくコイツはスーパーレア生物です。見つけた瞬間に興奮が止まりませんでした。
この子すっごい有名なんです。世界一なんです。その秘密は棲んでいる場所です。
このウグイが住んでいる場所は青森県の北部、パワースポットとして有名な恐山。その頂上にある宇曽利山湖に生息しています。住んでる場所から恐山ウグイとも呼ばれます。

宇曽利山湖はこんな感じの静かな場所です。極楽浜って名前がついてるほどいい場所です。訪問をオススメします。
ぼーっとして過ごせる素晴らしい場所だと思っているのですが、恐山にあるだけあって、非常に特徴的な性質を持っています。
なんとpHが3.5前後です。
かなり強酸の水質を持っています。
つまり恐山ウグイはとんでもなく強い酸性湖に住んでいます。ちなみに他に住んでいる魚はいません。こいつだけが生き残っています。
ふつう魚は7前後の水質を好みます。
特徴的なpHとして有名な、アフリカのマラウィ・タンガニイカ湖に住む魚でpH8前後、アマゾンの酸性河川に住む魚でpH6前後です。7を大きく外れることはありません。
そんな中3.5前後です。とんでもない数値であることがご理解いただけるかと思います。

宇曽利山湖に近付くと、この様に泡が噴き出てきています。腐卵臭がしますので、恐らく硫化化合物でしょう。火山湖なので、こういったものがあふれ出てきて、強酸湖を作っています。
とんでもない場所で生息できる理由は鰓にある塩類細胞が特殊進化しているためです。
塩類細胞は浸透圧やpH調整のための細胞ですが、それがすっごい強化されています。彼らのDNAにはどれほど価値があるのか…考えただけで興奮します。
この様に宇曽利山湖の恐山ウグイは世界で最も低いpHで生息する魚です。世界一です。そうやってみるとすっごい希少ですよね?さらに不思議と綺麗にみえてきませんか?(^^♪
光輝いていますよね?ね???
余談ですが、非常に魚の状態がいいです。この写真でも尻尾の先の薄い色の部分まできれいに残っています。状態が悪いと溶けたりします。
浅虫水族館の高い飼育技術がこの写真からも見て取れます。
スギノコ
一番は恐山ウグイなんですが二番手はスギノコですね。
スギノコは青森県のごく一部(下北半島の北の端)にしか生息しないヤマメです。特徴的なのは見た目というよりは住処です。ウグイと一緒ですね。青森は地域隔離個体群の天国なんでしょうか?
通常、最上流がイワナ、次いでヤマメ、下流にニジマスという棲み分けを行いますが、スギノコはイワナより上流に棲みます。 さらに生息河川は滝によって海と隔絶されているため降海しサクラマスになることがなく河川で繁殖をくりかえします。

一般受けしそうな生き物

ここまで若干マニアックな話をしてしまいましたので、一般受けしそうな生き物も紹介します。
カマイルカ
まずは皆、大好きイルカさんです。
我ながら上手く飛んだ瞬間を撮れたなと思います( ´∀` )このイルカはカマイルカというイルカです。まぁ北国で一般的なイルカです。青森で観測されるイルカの9割がカマイルカだそうです。
特徴はその背びれです。鎌の様に曲がった背びれが名前の由来になっています。
ちなみにメスと、若い個体の背びれの曲がり方は緩やかです。成長したオスほどギュインっと背びれが曲がります。カマカマしてきます。

写真を見るかぎり、両方とも背びれがカマカマしている様に感じるのでオスでしょうか。メスはもう少し三角形なイメージです。
ニシキアナゴ&チンアナゴ
つづいて水族館の人気キャラ、ニシキアナゴ&チンアナゴです。
こっちがニシキアナゴ

白いのがチンアナゴです。チンアナゴはこっちずっと見ていて横を撮らせてくれませんでした。彼らの水槽で見事なのは『すみだ水族館』なのですが、浅虫水族館では広々悠々と飼育されていました。
チンアナゴには『ちんあなごの歌』という名曲があります。一度youtubeで検索してみてください。くせになる曲です。
周辺施設

周辺施設で個人的にお勧めなのは、隣町の平内町の夜越山(よごしやま)森林公園です。オートキャンプ場や温泉施設も併設されていますので、家族ずれにお勧めです。
20分くらい登るとこんな感じで陸奥湾を見渡せます。

あと国道沿いに有名なシェーク屋さんもありました。凄い車とまっているのですぐわかると思います
おわりに

補足情報ですが2020年もゴマフアザラシのベビーが生まれたようです。まだ展示されていません(モニターで映る姿は見れる)でしたが、今後の人気者になることが想定されますね。ちなみに名前はひかりちゃんです。
ここは本当に北国の海の生き物が状態よく展示されています。水族館大好き人間から見てもいい水族館であることは間違いありませんでした。