医薬品副作用被害救済制度って知ってますか?

医薬品は用法用量を守って正しく使いましょう。正しく使用しないと、「医薬品副作用被害救済制度」が使えなくなるかもしれません。未承認薬、輸入薬、添付文書をよく読まず使っている人は今一度立ち止まってみませんか?
はじめに

薬は用法用量を守って、医師、薬剤師に従い正しく使いましょうと良く聞きますよね?
これは、有効性ならびに安全性を担保するためという理由です。ちゃんとデータがとってある根拠のある使用をしましょうということですね。
しかし、実はまだ大切な理由があります。
もし薬を使って入院が必要な重大な副作用が起こった時に、この「正しく使う」が非常に重要になります。
正しく使用しないと、医薬の副作用から被害者を救済する「医薬品副作用被害救済制度」が使えなくなるかもしれません。
今回は一般的にはあまり知られていない。医薬品副作用救済制度の概要を紹介します。
医薬品副作用被害救済制度

それでは医薬品副作用被害救済制度にを紹介いたします。
以下医薬品副作用被害者救済制度のホームページからの引用です。
医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を防げない場合があります。そこで、医薬品(病院・診療所で処方されたものの他、薬局等で購入したものも含みます)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度が、「医薬品副作用被害救済制度」です。
引用:医薬品副作用被害救済制度
簡単にまとめると
医薬品を正しく使っていても、入院が必要なほど重篤な副作用や死亡事故が起こった時に給付を行いますよという制度
です。
この『正しく使う』には重要なポイントが2点あります。
- 厚生労働大臣の許可を受けた薬剤である。
- 用法・用量を守っている。
主にこの2点です。
つまり、日本で承認&発売されていて、用法用量を守っている薬の場合、入院が必要な副作用には給付が発生します。
対象外のケース
当然、対象外もあるわけで対象外のケースと理由を列挙します。
1:定期予防接種による副反応
定期予防接種(ワクチン)は対象外なんですね。ワクチンの副反応(副作用)は一般的に確立が低いものの、過去薬害に発展したこともあり、なぜ保証がないのか、すこし疑問に思いますよね。
でも定期予防接種には
予防接種後健康被害救済制度
という別制度があるんです。
副作用救済制度も対象にしてしまうと救済給付の二重取りになってしまうので、それを避けるために予防接種後健康被害救済制度で給付うけてねってことですね。なので、対象外でも問題ありません。
補足すると任意接種の予防接種は予防接種後健康被害救済制度の対象外なので、医薬品副作用救済制度の対象になります!
2:対象外品目(抗がん剤等)による副作用
いくつか対象外品目がありまして、その最たるものが抗がん剤です。
抗がん剤は副作用が強く、使えば入院が必要、場合によっては重大な副作用が起こりやすい薬剤です。治療のためにそういったリスクを理解した上で使用される薬剤ですので給付は対象外になります。仮にこれを認めてしまうと抗がん剤使用=給付といった形になりかねず、『適正使用していたにも関わらず、予期せぬ副作用で入院・死亡したことに対する給付』という本来の目的から外れかねません。
3:救命のために、同意の上で規定以上の医薬品が使用された場合の副作用
これも抗がん剤と根本は同じです。救命のためにリスクを取って使用した結果の副作用ですので、自己責任になってしまいます。
4:副作用・損害賠償の責任対象が、製造販売業者など既に明らかである場合の副作用
これは企業の落度なので、国じゃなくて責任が企業なので企業に払ってもらってね!!
というケースですね。企業に責任の主体がある薬害や違法製造による健康被害等のケースが相当します。
5:違法&不適切な使用をしている場合の副作用
本題はこれです。ちゃんと使ってない場合です。正しく使ってないよね?自己責任だよね?という場合ですね。
- 医薬品の過剰摂取(睡眠薬とか)、
- 未承認薬の使用(根拠のない使用)、
- 適応症にない使用(インフルエンザの薬を新型コロナウイルスにつかうとか)、
- 服薬コンプライアンス違反(飲むべき薬を飲んでいない等)
患者が勝手に使用する場合や、医師がどうしようもなく決断するケース等々がありますが、添付文書通りの使用が行われていない場合は原則適応外となってしまいます。
添付文書にない使用方法は製薬企業と国が認めていない使い方ですので、『つかうなら自己責任でお願いします』ということですね。
小括

適応条件と健康被害の程度を一度まとめますと
適応される条件
- 日本承認、発売済みの薬剤であること
- 添付文書通りに正しく使われていること
- 対象外のケースに該当しないこと
適応される健康被害
- 入院治療を必要とする程度の健康被害で医療を受けた場合
- 日常生活が著しく制限される程度の障害がある場合
- 死亡した場合
こんな感じでしょうか、これらを厚労省とPMDAが評価して給付を決定しています。
給付の種類

健康被害の程度ごとに給付の種類も決まっています。
入院治療を必要とする程度の健康被害で医療を受けた場合は
医療費と医療手当が支払われます。入院治療にかかった費用を補助する方にになります。国が責任をとって十分な医療を受けさせますよということです。
日常生活が著しく制限される程度の障害がある場合は
障害年金と障害児養育年金が支払われます。副作用によって奪われた生活の保障を国が行うイメージです。
死亡した場合は遺族年金と遺族一時金と葬祭料が支払われます。これは最悪のケースですが、遺族の方の金銭的負担を軽減するために設定されています。
給付の金額は以下表をご確認ください。
引用:医薬品副作用被害救済制度
人によっては満足いく金額ではないかもしれませんが、かなり大きな金額は支払われることが分かりますよね。ただ、これも正しく薬を使っていればこそです。
安易な適応外使用はこういった万が一の保障を失うものだと何となくわかっていただけましたでしょうか。
まとめ
近年、ネット通販等で海外承認、日本未承認薬を容易に購入出来る様になりました。さらに日本ではまだ発売されていない海外のジェネリック医薬品も購入できます。
絶対にやめましょう!!本当に完全自己責任の領域です。
国は絶対に未承認薬の副作用に救済を出しません。
海外ジェネリックは日本で先発が売っているし安全なんじゃないかと思われるかもしれません。しかし日本と外国の医薬品管理基準の違い、錠剤を固める為の添加剤の違い、使える添加剤の違い等から全く同じ安全性ではありません。
日本の医薬品管理の基準は非常に高いです。厳しくなったとはいえ、インドや中国などの基準は日本と比べるとまだまだ緩いです。例え同じ薬だとしても、大きな副作用がでる可能性は否定てきません。
そして日本未承認薬をつかって重大な副作用が起こった時に医薬品副作用被害救済制度は使えません!!高い入院費や障害が残った場合どうするのでしょうか?また、仮に死亡した場合家族は大丈夫でしょうか。
輸入薬は確かに安いです。でも、そのリスクを本当にわかって使っていますか?自分が飲む薬の添付文書は読んでいますか?正しくつかえていますか?
今一度考えていただきたいと思います。