はじめに
長年社会人として営業をしていると競合の新製品である新薬とを株価の関係は非常に気になるわけです。
今日取り上げるエーザイは苦しい状況が長かったので、しばらく株価のチェックをしていませんでした。ところが、先日確認すると記憶の3倍くらい株価が上がっているではありませんか。
認知症の薬がうまく進んでいる進んでいないという噂は聞いていましたが、
少し調べてみるとなんとまぁいい教材ではないですか!!
いい機会なのでまとめさせていただきました。
株価の変化について
株価の変動グラフが以下になります。
端的に言うと2015年から始まるアルツハイマー型認知症の薬によって大きく変動しているのがエーザイです。具体的に期間を分けてどのタイミングで上下しているか紹介していきます。
特に変動が大きかった4ポイントには注釈をいれてあります。

2010~2012年末
2010年初期は主力品であったアリセプト&パリエットの特許切れに苦しみ低空飛行を強いられていた時期です。
本当に2012年前後のエーザイの担当者さんは大変だったと思います。穴の開いたバケツに水を灌ぐかのように、後発品に切り替えられる主力品を紹介していたイメージが強いです。
2013年初期
2013年5月ごろにも上昇しています。
これは米国腫瘍学会でエリブリンメシル塩酸とレンバチニブに関わる9研究が発表された時期です。これに対する期待感が反映されたものでしょう。
2015年①の時期
アルツハイマー型認知症治療薬の臨床試験進捗が良好と発表されました。
調べていて、これおもしろいなーと思ったのですが、2015年は成功したという結果が発表された訳ではなく。上手くいってるよーっていう発表なんですよね。
それだけでも株価は2倍以上に急上昇しています。 その後、この薬に対する期待感をもったまま、株価は6000円位で推移します。
2018年②の時期
2次に変化が現れたのは2018年
少数の患者に使ってよかったよという発表で6000円台から10000円台を突破します。凄い変化ですよね。沢山ニュースになっていたのも覚えています。
認知症は治療ニーズが満たされていない領域ですので、市場の期待もめちゃくちゃおおきいです。 それが如実に反映されているなと思います。
2019年③の時期
2109年初頭に事件は起こります。
突然の臨床試験の中止発表!!!開発がストップしてしまいます。
これにより株価は5000円台まで戻ります。
残念ですが新薬メーカーにはこの手の話は非常に良くある話なんです。めちゃくちゃ期待されていたのに「副作用が想定より強い」「思ったより効かない」「今までの薬と変わらなかった」等の理由で開発が中止されます。
ほとんどのケースでは公式発表がなされますが、いつの間にか「しれっと」開発品からなくなっているケースすらあります。新薬メーカーはこの開発中止のリスクとも常に戦っています。
2019末④の時期
しかしながらまたまた事件は起こります。しかも、たぶんこのケースはすごい珍しいと思います。一度開発中止した薬が息を吹き返します。
息を吹き返すこと自体はままあるんですが、驚いたのはこのスピード!!1年たたずに解析して回復、申請予告はおどろきました。
エーザイ研究開発陣の薬にかける思いが非常に強かったのでしょう。執念の復活劇により株価も8000円まで回復しています。
現在は新型コロナウイルスによる世界的な不景気でまた下がっていますが、新薬が頓挫したわけではないので、そのうち戻ってくるのではないでしょうか?
新薬メーカーの株価は新薬に振り回される。
エーザイの10年の株価の動きにおいて大きなポイントには常に期待の新薬がありました。この薬はかけられる期待も大きくインパクトも強かったため非常にわかりやすい株価変動しています。
もちろん株価への影響はこれだけではありませんが、新薬は非常に大きな要素を締めています。結構ギャンブル要素が強い業界ですよね。
駆け足気味の内容ですが、新薬の株価へ与える影響の一例としてご理解いただけましたら至極光栄です。