目次
ポイント
- FDAが、淋菌感染症(尿道・子宮頸部にとどまるタイプ)に対する飲み薬を2つ承認
- Nuzolvence(zoliflodacin)は水に溶かして1回飲むタイプ、Blujepa(gepotidacin)は錠剤で2回飲むタイプ
- 抗菌薬が効きにくくなる流れが世界的に強まる中、注射(ceftriaxone)以外の選択肢が増える
詳細
米FDAは2025年12月12日、性感染症の一つである淋菌感染症について、「尿道や子宮頸部に限局した、合併症のないタイプ」に使える経口薬(飲み薬)2剤を新たに承認しました。
これまで標準治療は注射(ceftriaxone)が中心で、飲み薬だけで治療できる選択肢は限られていました。今回の承認は、薬が効きにくい菌が増えている現状を踏まえた動きと位置づけられます。
どう効く薬?
- Nuzolvence(zoliflodacin):菌が増えるのに必要な「遺伝情報(DNA)の扱い」を止めて増殖を抑えるタイプの抗菌薬です。
- Blujepa(gepotidacin):同じく菌のDNAの働きを止める方向ですが、これまでの薬とは違う仕組みで効くとされています。
(どちらも「薬が効きにくい淋菌」への備えとして期待されます)
試験結果(データのみ)
- Nuzolvence 試験
- 対象:930人
- 投与:単回 3g(水に溶かして服用)
- 判定:治療後 4〜8日 の菌の消失
- 治癒率:91%(Nuzolvence) vs 96%(標準治療:ceftriaxone注射+azithromycin)
- Blujepa 試験
- 対象:628人
- 投与:3,000mgを2回(10〜12時間間隔)
- 判定:治療後 4〜10日 の菌の消失
- 治癒率:93%(Blujepa) vs 91%(標準治療)
- 適応・対象
- Nuzolvence:12歳以上、体重 77ポンド(約35kg)以上
- Blujepa:12歳以上、体重 99ポンド(約45kg)以上
- Blujepaは「安全性データが限られるため、他の選択肢がほとんどない患者向け」という条件付き
- 規制上の指定
- 両剤とも:Fast Track/感染症向け指定(QIDP)/優先審査(Priority Review)
副作用・注意点(わかりやすく)
- Nuzolvence:白血球の低下、頭痛、めまい、吐き気、下痢など。動物試験で「妊娠への影響」や「男性の生殖への影響」が示唆され、注意事項がラベルに記載されています。
- Blujepa:下痢、吐き気、腹痛、嘔吐、頭痛、だるさなど。人によっては心臓のリズムに影響するおそれや、アレルギーなどに注意が必要です。
参考情報
FDA News Release(2025年12月12日)「FDA Approves Two Oral Therapies to Treat Gonorrhea」
