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史上最高薬価のゾルゲンスマ。1億円超えでも日本は安すぎる。

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史上最高薬価薬がもうすぐ日本にやってくる

日本で史上最高薬価の薬がもうすぐ発売されます。

日経新聞にも以下の記事が上がっています。 

米国での販売価格は約2億3千万円。従来の治療法を10年続けた場合にかかる医療費約4億円の半額で設定された。ゾルゲンスマは1回の投薬で治療を済ませるため、単価は高くなる。世界で最も高額な薬剤とされる。

出典:「1億円超え新薬」販売承認へ 乳幼児の遺伝子治療: 日本経済新聞

 

凄いですよね。10年で1億7千万円の削減です。

さらに1回の投薬で治療が完了する。患者さんの負担もこれまでより大きく軽減できそうです。

 

さらに記事を読むと色々な事が書かれており、画期的な新薬で有ることがわかります

脊髄性筋萎縮症Ⅰ型は予後が非常に悪いことが知られており、有効性に期待する人も多いでしょう。

 

日本での薬価は未だ決まっていませんが、高薬価が予想されます。

 日本では1億6700万円に決まりました。

 

ただ、製薬会社勤務の私はこんな疑問を持ちました。

こんなに画期的なのに企業へのインセンティブ少なすぎないか?

 

安くなるのはいい事なんだけど、いいものを半額以下で売るなんて資本主義経済の原則にあまりに反する。これだけの有用性ならば総治療費が同程度でも高いとは思わない。

 

医療費抑制は騒がれているが良いもので稼げなくなったら製薬会社は立ちいかなくなる。アメリカがそんなことを考慮しない訳がない…だけどアメリカも2.3億と日本よりは高いけど約半額…

 

なんか裏がありそう…計算してみるか!!!

 ということで計算してみました。

 

総医療費比較

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計算条件

・従来治療は10年で4億円

 

・年間平均は4000万円

・新規治療は米国薬価は2.3億円、1回使い切り

・新規治療は日本薬価は1.67億円、1回使い切り

・毎年1例の新規患者がいる場合の10年間の総費用を計算

 

計算結果

計算結果は以下の通りです。わかりやすく表にまとめております。

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★従来治療の場合

従来治療の総薬価

毎年1例新規症例が発症するとして10年間使用した場合従来治療では22億円かかります。この病は遺伝病なので毎年20人くらい発症してしまうので22億×20で440億円が日本ではかかっています。

 ★新規治療薬の場合(アメリカ)

それではゾルゲンスマ(アメリカ薬価)の場合はどうでしょうか。

ゾルゲンスマは1回で治療を済ませるため、使った後は0円です。これだけでも患者さんのメリット大きいですよね。

ゾルゲンスマ薬価

 総治療費は23億円。やっぱり従来治療より1億円高くなりますね。

毎年20症例に使われた時は460億円。20億円高くなっています。

やっぱりいい薬ですからね。アメリカはインセンティブ有りましたね。適正な価格だと思います。

 

★新規治療薬の場合(日本)

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では日本はどうでしょうか?

 

同様に計算すると日本は10年で16億7000万です。

従来治療たと22億円だったので毎年1例に使われると仮定すると10年で5.3億円。

予想患者数の20例だと106億円削減されることになります。

10年の売り上げは334億円。アメリカは460億。その差130億円安くなります。

あまりにも差が大きいと思いませんか?

 

 

まとめ

 もともとの10年間の市場が440億円。新薬を使った場合334億円といった結果です。

大体25%offくらいでしょうか。半額とまではいきませんでした。

 

正直、本来ならば、アメリカの様に高くなるべき薬です。アメリカと同薬価でも保険に与える影響は年間2億円です。人口割すると2円に満たない様な上昇です。もともと希少疾病なので、インパクトは少ないのです。

 

高ければいいというものではありませんが、希少疾病で、患者数の拡大はそもそも望めない。それでも、企業努力でメーカーは画期的な薬を作りました。

 

にも関わらず従来の市場より少ない金額しか資金回収が出来ないのならば、製薬企業の希少疾病の新薬開発モチベーションは落ちてしまうのではないでしょうか。製薬企業は慈善事業ではなく営利団体です。リターンが得られない領域には投資したくないというのは当たり前です。

 

もともとの10年間の市場が440億円。新薬を使った場合334億円というのはあんまりだと個人的には考えます。開発会社も少なくとも同程度の440億は稼げると見込んで投資を行っていたのではないでしょうか。

 

医薬品に関わる身としては安すぎると感じています。それくらい画期的な新薬なのは間違いありません。安い薬価がついたことで日本における希少疾病薬の開発が遅れることがない様に願ってやみません。

 

希少疾病の領域で薬価削減を行うことは長い目で見れば患者の為になりませんし、あまりにも新薬メーカーと研究者に対するリスペクトが欠けていると言わざるを得ません。日本の薬価は安すぎると思います。

 

この薬が脊髄性筋萎縮症患者さまの希望となることを祈ります。