アデュカヌマブ承認に医薬品業界が沸いているのはなぜ?【アデュカヌマブの歴史】

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2021年6月7日深夜から8日にかけて
医薬品業界が沸きました!!

医薬品産業に関わるわれわれにとって
非常にセンセーショナルな事件!!

それが

アデュカヌマブのFDA承認!

喜ぶチクチク
チクチク
実際、SNS等で確認された方も
多いのではないでしょうか?
この盛り上がりは投資家にも波及しているようで

誰も売らない&買いたい人殺到で
株価の取引が成立しないなんて珍事もおこっています。
そんな中で
おそらくこんな疑問を感じた方もいらしゃいますよね?
なんで、一つの薬の承認で
こんなに盛り上がるんだ?
特に製薬業界ではない人の中に、
この疑問を感じた人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では
なぜ製薬業界が
アデュカヌマブFDA承認に
ここまで盛り上がったのか?
喜ぶチクチク
チクチク
この疑問にお薬業界の浅瀬に生息する
私が答えていきます!!
もくじ

アデュカヌマブ承認に医薬品業界が沸いているのはなぜ?

アデュカヌマブ承認に医薬品業界が沸いているのはなぜ?

なぜここまで盛り上がったのか?

ざっくりいうと、
多くの方がアデュカヌマブは承認されない。
または厳しい条件つき承認になる。
こう思っていたんです。

結果、売り上げも思ったより望めなくなり
エーザイとバイオジェンは窮地に立たされる。

喜ぶチクチク
チクチク
かなりの人がこう思っていたはずです

にも関わらず、蓋を開けるとアナリストが
米国だけで50億ドル/年で売れる
スーパー医薬品として承認されちゃったんです。

さらにエーザイの社長は
100万人に使われるとまで言っています。

チク子
予想と正反対の結果になったわけね!

というのも、実はこれまでの臨床試験の結果は
明るいものばかりではなく(どっちかというと暗い)

費用対効果の観点からも
かなり厳しい承認になると考えるのが至極当然でした。

楽しいチクチク
チクチク
ある程度知っていた方の気持ちの変化は
多分こんな感じです。

正直ダメだと思われていた薬が
5000億円を超える巨大製品として
承認されたわけです。

期待してなかった&最近明るいニュースのないお薬業界は
スッゲーーーーー!!
とみんなが沸いたわけです。

喜ぶチクチク
チクチク
ちなみにバッチリ私も沸きました。

喜ぶチクチク
チクチク
結論は以上です。
ここからは業界が沸くまでの経緯を
紹介していきます。
チク子
思っていた記事と違うわ!って人は
ここでブラウザバックしましょ!
でもその前にメルマガ&過去記事も
見ていってくれると嬉しいです!
楽しいチクチク
チクチク
それでは、
なぜそこまで期待してなかったのか?
その経緯をプレスリリースから
紐解いていきます。

これまでの経緯

これまでの経緯

これまでの経緯をバイオジェンと共同開発をしている
エーザイのプレスリリースから紐解いていきます。

ちなみにアデュカヌマブの開発コードはBIIB037です。

エーザイ最古のプレスリリース(2014年3月)

エーザイの最古のプレスリリースは
2014年3月5日に発表されています。

これが、
バイオジェンとの提携をしらせるプレスリリースです。
実はアデュカヌマブは
もともとはバイオジェンが開発していた薬です。

この契約は

エーザイが保有していた
認知症の候補物質のE2609、BAN2401と
バイオジェンが保有していたBIIB037を
共同開発しましょう!!

という契約です。

楽しいチクチク
チクチク
3つの物質の詳細は以下をご覧ください。

1. E2609について

E2609は、エーザイが次世代経口アルツハイマー型認知症治療剤として開発している自社創製のBACE阻害剤であり、アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することで、アミロイドβ(Αβ)を減少させます。

Αβの脳内の沈着はアルツハイマー型認知症の病因の一つと考えられており、Αβを減少させることにより、症状改善だけでなく病態の進行を抑制するなどの疾患修飾作用も期待されています。現在、臨床第Ⅱ相試験の開始に向けて準備中です。

2. BAN2401について

BAN2401は、アルツハイマー型認知症に対する免疫療法剤創製を目的としたバイオアークティック・ニューロサイエンス社(本社:スウェーデン、ストックホルム、以下 バイオアークティック)との共同研究から得られた、ヒト化モノクローナル抗体です。

アルツハイマー型認知症を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する可溶性のΑβ凝集体に選択的に結合して無毒化、脳内からこれを除去する世界で初めてのモノクローナル抗体です。

本抗体による治療アプローチは、病態の進行を抑制するなどの疾患修飾作用が期待されています。

エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー型認知症を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。現在、臨床第Ⅱ相試験を進行中です。

3. BIIB037について

BIIB037は、バイオジェン・アイデック社がNeurimmune社よりライセンスを受けて開発している抗Αβヒトモノクローナル抗体です。

BIIB037はAD患者の脳に形成された毒性の高いΑβ凝集体に結合し除去することで、病態の進行を抑制することが期待されています。現在、臨床第Ib相試験を進行中です。

引用:エーザイ株式会社とバイオジェン・アイデック・インクがアルツハイマー型認知症治療剤に関する共同開発・共同販促契約を締結

チク子
エーザイはP1終了~P2まで進んでいた
E2609、BAN2401を生贄に
バイオジェンが保有していたP1のBIIB037
(アデュカヌマブ)を召喚した形ね!

なお、この時は投資家たちも冷静で
ほぼ株価に影響はありませんでした。

2015年に株価が急上昇していますが、
これは抗がん剤レンビマの好調によるものでしょう。

nature表紙への登場(2016年9月)

そして、医薬品業界でアデュカヌマブが
大きく注目されはじめる事件が起こります。

2016年9月にとある学術誌の表紙を飾ります!

喜ぶチクチク
チクチク
ちなみに
私もこのタイミングで知りました!

ネイチャー表紙

引用:nature Volume 537 Issue 7618, 1 September 2016

チク子
とある学術誌ってnatureかよ!
私でも知ってるわ!
かの有名な雑誌natureの表紙に
研究画像が使われました!
ちなみに、この画像はアデュカヌマブが
脳内のアミロイドβを減らしたことを示す画像です。
赤い部分がアミロイドβなんですが、
赤い部分が激減していることがわかります。
初めてみた時はショックを受けたのをよく覚えています。
アルツハイマーの原因物質の可能性が高い考えられている
アミロイドβを除去したのですから…本当に驚きました。

なお、このデータは
前駆症状または軽度のアルツハイマー病の患者に
アデュカヌマブを使用した

第Ib相試験(PRIME)…その中間解析結果でした。

楽しいチクチク
チクチク
ただこの時は中間解析だからか
株価に大きな影響はなかったようです。
チク子
一般の投資家には
まだ意識されていなかったのかな?

AAIC2018における発表演題(2018年7月の株価高騰)

そして一般の投資家たちに
強く意識され始めたのが2018年です。

2018年7月22日から26日まで
米国イリノイ州シカゴで開催された
アルツハイマー病協会国際会議にて

以下演題が発表されました。

開発品・演題番号 発表演題・予定日時(現地時間)
Aducanumab
Abstract ID: 22962
口頭発表番号: O1-09-06

抗アミロイドベータ・モノクロナール抗体Aducanumabを用いた無作為化臨床第Ⅰb相試験(PRIME)における24カ月時点のCDR(Clinical Dementia Rating)のベースラインからの変化
口頭発表:7月22日(日)15:15-15:30

Aducanumab
Abstract ID: 22959
ポスター番号:P1-041
抗アミロイドベータ・モノクロナール抗体Aducanumabを用いた無作為化臨床第Ⅰb相試験(PRIME)におけるAPOEε4保有者の24カ月解析
ポスター発表:7月22日(日)9:30-10:30
Aducanumab/アルツハイマー病全般
Abstract ID: 22897
ポスター番号:P1-339
アルツハイマー病診断前後における電子健康記録中の認知機能および他の神経心理学的評価
ポスター発表:7月22日(日)12:00-13:00
喜ぶチクチク
チクチク
natureの表紙を飾った
Ⅰb相試験(PRIME)の結果が
学会発表されました!

結果はnature発表時の中間解析と遜色なく、
さらに全世界にむけてライブ配信された影響もあってか、
株価は高騰します。

2021年6月8日までの
最高値をつけたのもこのタイミングです。

全世界が
アデュカヌマブといういい薬がある!!

と認識したタイミングだっだのかも知れません。

チク子
ちょうど赤い横点線と縦実線が
クロスしているところです!

臨床第III相国際共同試の中止(2019年3月の株価急落)

ここまでは順調に見えるアデュカヌマブですが、
急騰の翌年、進行していた
承認申請用のP3試験にて衝撃の決定が下されます。

バイオジェン(Nasdaq: BIIB、以下 バイオジェン) とエーザイ株式会社(以下 エーザイ)は、本日、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI due to AD)および軽度アルツハイマー病患者様を対象にアデュカヌマブの有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したことをお知らせします。本決定は、独立データモニタリングコミッティにより行われた無益性(Futility)解析の結果、本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではありません。

〜中略〜

今回の決定に伴い、EVOLVE試験(臨床第Ⅱ相安全性試験)、および PRIME試験(臨床第Ⅰb相試験)の長期継続投与試験についても中止します。また、Secondary Preventionに関する臨床第Ⅲ相試験の開始については、ENGAGE試験、EMERGE試験の結果をさらに評価した上で決定します。

アルツハイマーへの効果が思ったように出ず
臨床試験の中止が決定されます!!

これも衝撃でしたね!認知症やっぱり難しいんだ!!
と多くの得意先で話題に上がったのを覚えています。

かなり多くの方がアデュカヌマブは終わった!
その様に判断したでしょう。

悲しいチクチク
チクチク
株価は急落しています。
すっごい青線なので一発でわかりますね。

喜ぶチクチク
チクチク
ほとんどの方がここで
アデュカヌマブは終わった
と考えていました。
しかしながら
ここから驚きの復活をとげます。

復活のアデュカヌマブ(2019年10月)

試験中止から大体半年後

この時は、ちょうど世間はアデュカヌマブこけたし、
エーザイもバイオジェンもこれからきついわー

という話題もひと段落したくらいタイミングです。

そんなわれわれに衝撃のプレスリリースが舞い込んできます。

バイオジェン(Nasdaq: BIIB、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、本日、早期アルツハイマー病(AD)患者様を対象に臨床試験を実施したアデュカヌマブについて、バイオジェンが米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づいて、新薬承認をめざすことを発表しました。

臨床第Ⅲ相試験であるEMERGE試験は、アデュカヌマブの高用量投与群がプラセボ群と比較して、統計学的に有意な臨床症状の悪化抑制を示し、主要評価項目を達成しました。また、もう一つの臨床第Ⅲ相試験であるENGAGE試験は、アデュカヌマブの高用量投与を受けた被験者のサブグループにおいてEMERGE試験を支持する結果であったとバイオジェンは考えています。

アデュカヌマブを投与された被験者では記憶、見当識、言語などの認知機能において顕著なベネフィットが見られました。また、金銭管理、家事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での外出などの日常生活動作においてもベネフィットが見られました。

アデュカヌマブが承認された場合、本剤は早期アルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制する最初の治療剤となるとともに、アミロイドベータ(Aβ)の除去が臨床上のベネフィットをもたらすことを実証する世界初の薬剤となります。

今回のアデュカヌマブの承認申請の決定は、無益性(Futility)解析の結果により2019年3月に試験が中止された臨床第Ⅲ相試験に関して、FDAとの相談のもと、大規模データセットを用いてバイオジェンが実施した新たな解析結果に基づきます。

事前に計画された無益性解析の後に得られた追加データを含む、大規模データセットを用いた今回の新たな解析の結果、アデュカヌマブの用量依存的な脳内アミロイドの減少、および事前に規定した主要評価項目であるClinical Dementia Rating-Sum of Boxes (CDR-SB)における臨床症状悪化の抑制が示され、薬理学上および臨床上の両面で有効性を示しました。

両試験におけるアデュカヌマブの安全性および忍容性は、これまでのアデュカヌマブの試験と整合性を示すものでした。

え?主要評価項目達成??
半年前、だめだって言ってたじゃん!!
大規模データセットを用いた今回の新たな解析?
高用量の再解析の結果ってそれOKなの??

すでに売ってしまった投資家たちからは
こんな恨言が聞こえてきそうな結果が発表されました!

実質的にこのプレスリリースにて
アデュカヌマブは奇跡の復活をとげました!!

墓場からの復活です!!
正直こんなこと聞いたことないレベルの奇跡です!!

さらにFDAへの申請
も発表されたわけです。

喜ぶチクチク
チクチク
開発中止から一転のFDA申請
…市場が沸きました。

チク子
前回の急落を打ち消す上昇を見せます。
楽しいチクチク
チクチク
でもこれだけで終わらないのが
アデュカヌマブです。

FDA諮問委員会が否定的(2020年11月)

FDAや日本で承認申請を提出して
ウハウハなアデュカヌマブに衝撃のニュースがでます。

FDAが外部有識者を招集して科学的判断を求める
FDA諮問委員会にて衝撃の決定が下されます。

外部有識者会議とは言っても、
ここでの決定とFDAの最終決定は
8割合致します。

喜ぶチクチク
チクチク
諮問委員会の発表内容を引用します。

アルツハイマー病治療薬候補であるアデュカヌマブについて、米国食品医薬品局(FDA)の末梢・中枢神経系薬物諮問委員会が開催され、「301(ENGAGE)試験を考慮せずに302(EMERGE)試験を独立して評価した場合、アルツハイマー病治療としての有効性に関する説得力のあるエビデンスを示しているか」について投票を行い、賛成1、反対8、保留2の結果となりました。

また、「103(PRIME)試験がアデュカヌマブの有効性の裏付けとなるエビデンスを示しているか」については賛成0、反対7、保留4でした。

さらに、「申請者はアルツハイマー病の病態生理に対するアデュカヌマブの薬力学的効果に関して説得力のあるエビデンスを示しているか」については賛成5、反対0、保留6の結果となりました。

最後に、「103試験の結果およびアルツハイマー病の病態生理に対する薬力学的効果に関するエビデンスとともに、301試験および302試験の探索的解析による理解に基づき、302試験をアデュカヌマブのアルツハイマー病に対する有効性に関する主要なエビデンスとみなすことができるか」については賛成0、反対10、保留1となりました。

引用:アルツハイマー病におけるアデュカヌマブに関するFDA諮問委員会について

ちょっとわかりにくいので情報を整理します。
本内容はFDAに提出された3つの臨床試験と薬理学見地、
トータルの所見について意見を述べています。

  1. 301(ENGAGE)試験
  2. 302(EMERGE)試験
  3. 103(PRIME)試験
  4. 薬理学見地
  5. トータル所見

上記5つです。

それぞれの試験結果も簡単にまとめると

  1. 301(ENGAGE)試験
    主要評価項目未達。
    ただバイオジェンは「高用量投与群のデータはEMERGE試験の結果を裏付ける」と説明
  2. 302(EMERGE)試験
    アデュカヌマブ高用量投与群はプラセボ群に比べて臨床症状の悪化を統計学的に有意に抑制(臨床的認知症重症度判定尺度=CDR-SBによる評価で23%抑制)し、主要評価項目を達成。
  3. 103(PRIME)試験
    前述のⅠb相試験のこと。
    アミロイドβプラークの減少61%(p<0.0001)
  4. 薬理学見地
    3つの試験のアミロイドβに関する知見を評価している。
    減少率はそれぞれENGAGE試験59%の減少(p<0.0001)EMERGE試験71%減少(p<0.0001)、PRIME試験61%減少(p<0.0001)
喜ぶチクチク
チクチク
それぞれ委員にされた質問を
意訳してみます。

302(EMERGE)試験

意訳質問:EMERGE試験は高用量では主要評価項目達成したけど、アルツハイマー病治療のエビデンスとして説得力ある?

賛成1、反対8、保留2

つまり、EMERGE試験はアルツハイマー病治療のエビデンスとして不適切であるという意見です。

チク子
まぁ後解析して高用量で有意差でたと言われても…てことよね

103(PRIME)試験 (Ⅰb相試験)

意訳質問:PRIME試験はアミロイドβを減らしたけど有効性の裏付けになる?

賛成0、反対7

これもアルツハイマーに対してエビデンスにならない!というものです。

楽しいチクチク
チクチク
現在のアルツハイマーはアミロイドβだけでなくさまざまな要員が絡んでいるというのが定説です
なのでアミロイドβ現象だけでは有効性評価できないという意見ですね。

薬理学的見地

意訳質問:アデュカヌマブはβアミロイド減らしているデータあるけど薬力学的効果として評価できる?

賛成5、反対0、保留6

薬力学的効果はまぁ認められるんじゃない?という結果です。

楽しいチクチク
チクチク
これに関しては反対はなく、おおむね賛成とみて良いんでないかな?
チク子
6ー7割アミロイドβ減らすという事実はすごいよね

トータル所見

意訳質問:これまでの知見をもとに高用量で効果が証明された302(EMERGE)試験をアデュカヌマブのエビデンスとするのが適当?
賛成0、反対10、保留1
悲しいチクチク
チクチク
全体としてはこのデータだけではエビデンス不十分と判断するという結果になっています。
前述の通り、
ここでの決定はFDAの最終決定と8割が合致します。
さらにトータルの判断が
反対10、保留1という圧倒的な結果です。
賛否分かれてギリギリ反対多数ではありません。
ざっくりまとめると
βアミロイドを除去するのはスゴイし
効果ありそうなデータも出ているけど
まだ不十分だよね!
こんな結果になっています!
楽しいチクチク
チクチク
まぁ後解析だしな…やっぱダメじゃん!!
と市場が評価したのも仕方ありません…
株価も急落します。
チク子
ジェットコースターみたいな
株価してるわね…

衝撃のFDA承認(2021年6月7日)

医薬品承認の暗黙の了解で

  1. 薬理的知見だけでなく
    最終的な病気でデータ出さなければダメ
  2. 後解析はダメ(後出しジャンケン禁止)

こういう暗黙の了解があります。

FDAの諮問委員会も当然それを承知しているので、
反対10という結果になりました。

なので製薬業界の多くは
『まぁダメだろうなぁ…』と思っていたんですよ!!!

にも関わらず、結果は承認となりました!
この時の驚きは冒頭で紹介した通りです。

喜ぶチクチク
チクチク
ここまで読んでいただけた方には
驚きの理由がわかりますよね

暗黙の了解を超えてまでFDAが承認した理由は
患者コミュニティの視点に配慮した…
つまり困っている患者に選択肢を渡したかったというものです。

薬理学的効果、安全性、現在の有効性、無効のリスク、
そしてアルツハイマーの困窮度を秤にかけた時

メリットの方が大きいと判断したのです。
ちょっとだけ政治的な判断ですよね。

なので、この判断には業界内でも
賛否がめっちゃ分かれています!!
結構批判的な意見も目立ちます…

前述のFDAの諮問委員会の人に中には頭にきて
辞める辞めないという話まで発展しているようです。

FDAってエビデンスが神!!
みたいな組織だと思われていた節もあるので
ショックも大きいのでしょう。

楽しいチクチク
チクチク
個人的にはFDAにはより詳しい説明をして
いただきたいなぁと思ってはいます。

期待していなかった分、
株式市場にも驚きを持って迎えられたようで、
バイオジェンの株価は58%上昇

バイオジェン株価

エーザイの株価は当初つかず
(売りたい人と買いたい人の値段がマッチングしないため)
10日になって同様に急上昇しました。

エーザイ株価

悲しいチクチク
チクチク
エーザイかバイオジェンの
株を持っていれば…

まとめ

まとめ

アデュカヌマブの承認に業界が沸いた理由を
これまでの経緯を通して紹介してきました。

ちょっと詳しくなりすぎたかも知れませんが、
伝わりますと幸いです。

どうですかね?
いろいろ考えさせられる薬になりそうじゃありませんか?
しばらくの間、波紋を広げそうな気がします!!

FDAは承認後改めて
有効性データを出すように条件をつけていますので、

しっかりとデータとってもらって
いい結果になるとうれしいです。

楽しいチクチク
チクチク
コンセプトとβアミロイド除去効果は
本当にすごい薬なんです!!
アイキャッチ

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もくじ