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CRISPR-CasΦって何?【創薬を変えるテクノロジーかも?】

CRISPR-CasΦ

CRISPR−CasΦ

当ブログではゲノム編集技術であるCRISPRの話を以前取り上げましたが、なんとCRISPR-Cas9の次世代技術がScienceに発表されました。

文献:CRISPR-CasΦ from huge phages is a hypercompact genome editor

 
チクチク
その名はCRISPR-CasΦ(Φはファイって読みます。)

これは完全に私見ですが、CasΦは産業への応用という意味で革新的な技術になる気がしてなりません。

まだ発表されたばかりですので、今回は概要を紹介していきたいと思います。

 

 
チク子
ちなみにCRISPR関連の過去記事はこちらです。

巨大ファージ から見つかった。

巨大ファージ から見つかった。

CRISPRシステムはもともと原核生物がファージに対抗するための免疫システムと考えられてきました。

 
チク子
CRISPR遺伝子が最初に見つかったのは大腸菌です。

原核生物に取り付き寄生してくるファージのゲノムを破壊するためのシステムです。

このシステムを応用することで人間はゲノム編集を行っています。(詳しくは過去記事を参照ください。)

 

そう!原核生物がファージに対抗するためのシステムがCRISPRシステムのハズでした。

しかしながらCasΦは原核生物ではなく敵であるファージから見つかったのです。

 

すこし脱線しますが、ここがすごい個人的にグッとくるポイントです!!(脱線をお許しください)

もともとファージからするとCRISPRシステムは敵(原核生物)のミサイル兵器みたいなもんです。

 
チク子
ファージ絶対ブッコロCRISPRミサイルね!

ファージゲノムを正確に把握しズタズタにしていく恐ろしいミサイルです。

Cas3なんかシュレッダーとか呼ばれるくらいボロボロにしていきます。

そんな敵の破壊兵器をファージ は鹵獲(ろかく)し自分の兵器として取り込んだわけですね。

どういった経緯でファージがCRISPRを取り込んだかは不明ですが、

生物界における利用できるものは全て利用して生き残るという貪欲さをここから感じてなりません!!

敵の武器を奪って自分の武器にするって、どこぞの機動戦士のストーリーみたいですよね!!興奮します。

 
チクチク
興奮ポイントは以上!!本筋に戻ります( ´艸`)

 

さて本筋に戻ります。

CasΦはが見つかったファージはただのファージではなく巨大ファージと呼ばれるファージから発見されました。

名前の通り非常に大きいファージです。

巨大ファージと通常ファージの比較画像

最も小さいものとたど20倍近く違います。

かなりの大きさの差がありまして発見当初はウイルスと認知してもらえなかったそうです。

余談ですが、名前に冠されているΦ(ファイ)は生物学でファージを表すギリシア文字です。

 

この巨大ファージは原核生物ではなくアメーバに寄生することで自己増殖を行うウイルスです。

巨大ファージがどのようにCRISPRシステムを活用しているかというと、

同様にアメーバに寄生するファージ(競合するファージ)のゲノムを破壊し、自分だけが寄生し増殖するために使われていると原著では仮説が立てられています。

MIMIVIREとの関係は?

 

MIMIVIREとの関係は?

巨大ファージが競合するファージのゲノム破壊を行う…

実はこの文字を見たときにすごい既視感がありました。

 
チクチク
なんかどっかで似たような話きいたことあるぞ?と…

それが2016年に発表されたnatureの論文です。

文献:MIMIVIRE is a defence system in mimivirus that confers resistance to virophage

この論文ではヴァイロファージという巨大ファージを利用して増えるファージとそれに対する防御機構MIMIVIRE(mimivirus virophage resistant element:ミミウイルスウイルスファージ耐性要素)が紹介されています。

ヴァイロファージはミミウイルスという巨大ファージと一緒にアメーバに侵入し、巨大ファージが作り出した自己複製システムの中に入り込み、それを利用して増殖します。

ヴァイロファージに利用された巨大ファージは正常な増殖が妨げられてしまいます。

 
チク子
巨大ファージに寄生するファージといえます。

それを防ぐ免疫システムとしてMIMIVIREというファージ耐性システムが搭載されていることが判明した!!という論文です。

実際MIMIVIREはヴァイロファージのゲノムを破壊することがわかっています。

 

  • 競合するファージに対抗するシステムとしてのCRISPR‐CasΦ
  • 寄生して競合するファージに対抗するシステムとしてのMIMIVIRE

 

 
チクチク
似てますよね…

 

当初からCRISPRそっくりじゃね?と言われていたようで、CRISPR-like ‘immune’system discovered in giant virus:巨大ウイルスで発見されたCRISPRのような「免疫」システムという名前の文献もあるくらいです。

調べた限り、MIMIVIREの詳しいメカニズムはわかっていないみたいでした。

 
チクチク
わかっていたらすみません!!私のサーチ能力不足を笑ってください!!

ファージの変異スピードはとんでもないので、まったくの別システムである可能性も微レ存してそうですが、

似たようなシステムが偶発的に別機序で生まれたというよりは、同じシステムを別の見方で発見したという方が筋が通るような気はします。

近い将来、結局CasΦと同じシステムでした!!とまとめられそうな気がします。

 
チク子
これは完全に私見です。

 

CasΦ最大のメリットは小ささ

CasΦ最大のメリットは小ささ

さてCasΦに戻りましょう!!

CasΦの最大のメリットはその小ささです。70kDa~80kDaという今までのCas9の半分のサイズです。

従来のCas9遺伝子はウイルスベクターに積載して標的細胞内で発現させるには少々大きいという問題点を抱えていました。そのため多くの研究者が小型化に取り組んでいます。

その成果として2分割しても活性を維持するSaCas9等も現れています。

そんな中登場したCasΦは分割せずとも半分のサイズなので、そのままウイルスベクターに積むことが可能だと考えられます。

ゾルゲンスマに使われているアデノ随伴ウイルス(AAV)に積むことができれば、標的組織でCas9 遺伝子とcrRNAを発現させ後天的に遺伝子編集を行うということが出来るようになるかもしれません。

 
チクチク
CRISPRを直接積んだ薬が生まれるかもしれません。

あとがき

あとがき

実はCas9テクノロジーは特許関連で揉めていて、誰にお金を払えばいいかはっきりしない状態が続いています。

そのため、産業に応用しにくくCRISPRテクノロジーをそのまま薬にするのは無理じゃない?とも言われていました。

しかしながら、Cas9特許紛争の反省を活かし、発見者のジェニファーダウドナ教授は今回のCasΦは特許関連もばっちり対策しているようです。

ファ〇ザーとかノバルテ〇スあたりが目をつけて一気に開発、10年後に新薬発売とかなったらエモいなぁ…

そんな未来を夢見て今回は筆をおきたいと思います。

 
チク子
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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