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医薬品のRMP解説。アビガンを参考に

はじめに

個人的にはランダム化比較試験が存在しない状況で医薬品が承認されるのは是としないのですが、安倍首相も5月中の承認を言及しているアビガンはどうせ承認される気がしています。

政府が圧力をかけてるとデータが歪む可能性や、薬を使う患者の不利益に直結する可能性があるので非常に憤りを覚えていたのですが、

本日、日本医師会が溜飲を下げてくれたので、微力ながら力になれればと思い本記事を書いています。

※溜飲を下げてくれた発表

さて本日のテーマは医薬品のRMPです。

これは、新薬をご自身で服薬される際に添付文書と合わせて確認してもらいたい計画書になります。非常にまとまった資料なので一度見ていただくことをおススメさせていただいています。

それではRMPとは何なのか。

そしてアビガンのRMPから考えられることを考察していきたいと思います。

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RMPとは

医薬品医療機器総合機構のHPではRMPは以下の様に定義づけられています。

医薬品リスク管理計画(以下、RMP)は、医薬品の開発から市販後まで一貫したリスク管理をひとつの文書に分かり易くまとめ、調査・試験やリスクを低減するための取り組みの進捗に合わせて、または、定期的に確実に評価が行われるようにするものです。また、RMPを公表して、医療関係者の皆様と市販後のリスク管理の内容を広く共有することで、市販後の安全対策の一層の充実強化が図られることが期待されます。

引用:医薬品リスク管理計画 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

Risk Management Plan

の頭文字をとってRMPと略しています。

読んで字の通りRMPは医薬品のリスク管理の計画書なんです。

自分が飲む薬でしたら知っておいた方が良さそうな名前ですよね。ただRMPは2013年から始まったばかりの、まだまだ新しい資料なので2013年より前に発売された薬に関してはRMPは有りません。

文章だけだと内容があまり入ってこないかと思いますので、今のところはRMPはリスクを管理する為の文章。これくらいの認識で構いません。

実際にアビガンのRMPを確認していきたいと思います。

※アビガンのRMPは新型インフルエンザの適応で作られたものです。

アビガンのRMP確認と考察

さてどんなことが書かれているのでしょうか。

こちらがRMPのメインのページです。

f:id:HKS17881:20200519121002j:image
まず最初に製品名や有効成分等が書かれていますが、注目していただきたいのは作成年月日です。平成31年4月となっています。計画は随時進捗に合わせて変更されていることが分かります。

その下に、

  1. 安全性&有効性に関する検討事項
  2. 医薬品安全性監視計画の概要
  3. 有効性に関する調査・試験計画の概要
  4. リスク最小化計画の概要

上記4つが記載されています。

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安全性検討事項

安全性検討事項としては

【重要な特定されたリスク】【重要な潜在的リスク】【重要な不足情報】がそれぞれ記載されています。

重要な特定されたリスクは催奇形性の1つ

重要な潜在的リスクは下記9つ

  1. 血中尿酸増加による痛風発作
  2. ショック、アナフィラキシー
  3. 肺炎
  4. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
  5. 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
  6. 急性腎障害
  7. 白血球減少、好中球減少、血小板減少
  8. 精神神経症状
  9. 出血性大腸炎

重要な不足情報はなしとなっています。

これどのように分けられているかというと

・重要な特定されたリスク⇒治験で実際に確認された事象

・重要な潜在的リスク⇒治験では確認されなかったけど、作用機序や関連項目の変化、類薬で発生している等から確認が十分ではない事象

・重要な不足情報⇒小児や高齢者等への使用経験

といった具合で分かれています。

添付文書の副作用項目には重要な特定されたリスクは記載されますが、治験時に確認されなかった副作用は積極的には記載されません。(記載されている場合もあります)

添付文書にはない、

潜在的リスクと不足情報を一覧で確認できる点がRMPのメリット

の1つです。

重要な特定されたリスクは催奇形性です。動物実験の結果と海外第Ⅰ相試験で精液移行が認められており、否定できないことから設定されています。

催奇形性は色々な媒体で紹介されています。実際に市販されても、妊娠可能な女性に対してはかなり慎重に使われることになりそうです。

RMPで特徴的なのは重要な潜在リスクです。

こちらは『治験では確認されてないけどリスクはあるよ。注意してつかってね』というものです。前述の9項目ですね。

それぞれの設定理由は割愛しますが、治験では確認されていないが、可能性はあるという基本の設定理由がほとんどです。

すこし、アビガンに対する考察と思っていることの紹介をここで行いたいと思います。

潜在的リスクをみて、催奇形性以外は確認されてないんじゃんと思われるかと思います。しかし、

治験は極々限られた条件&症例

で行われています。

市販後、多くの患者さんに使われると少なからず確認されていなかった副作用が出てきます。

RMPにはその可能性が高いもの又は起こると厄介なものが記載されています。

海外で多く使われていると言われる人もいらっしゃいますが、副作用発現にも大きく関わる薬物代謝は人種差や食事等でも変わる繊細な領域です。他国で使われているから大丈夫というのは少々乱暴と言わざるを得ません。

アビガンに関してはインフルエンザの治験も終了していませんし、用量と使用期間の異なる新型コロナウィルスの治験も2020/05/19現在終了しておりません。

そういった意味では仮にこのまま承認され多くの日本人に使われた場合、潜在化リスクが顕在化する危険性は他薬よりもはるかに大きいのではないでしょうか

有効性に関する検討事項

また治験が完了していないという点では有効性に関する検討事項も重要です。

個人的にはこっちの方が問題だと考えています。

有効性に関する検討項目には以下記載があります。

本剤は、承認用法及び用量における本剤の有効性及び安全性が検討された臨床試験は実施されていないため、有効性に関する検討事項を設定した。f:id:HKS17881:20200519121545j:image

アビガンRMPより引用

ご覧の様に既に承認されている適応症ですら有効性はハッキリしていません。

さらに新型コロナウィルスに関しても無作為化比較試験(RCT)を行っていませんので、明確に効いたとは言えない状況です。海外の多くのデータの評価は『効いたかもしれない』が正しい評価です。

つまり、効果がない可能性も未だ内包している状況なのです。

RCTなしで承認して広く使われた場合、

『実は効果がありませんでした。副作用だけがありました。意味のない投薬で薬害につながりました。』となる可能性が否定できません。

新たな患者も減ってきている現在の状況で、RCTなしで承認するリスクと承認によって得られるベネフィットの秤がベネフィット側に傾くとは私には到底思えません。

しっかりとしたRCTをもって承認されることが長期的なアビガンと国民のメリットとなるのではないでしょうか。

少々思いが溢れてしまいました。トーンを戻します。

各種計画概要

アビガンのRMPにはリスクに関する検討だけでなく、製薬会社がどのようにリスクを小さくするのかという医薬品安全性監視計画とリスク最小化計画、そして有効性に関する調査・試験計画も記載されています。

安全性監視計画と有効性に関する調査・試験計画

安全性監視計画と有効性に関する調査・試験計画は最初に紹介した一覧表の左下に記載されています。

アビガンにおいては市販後の副作用情報の収集と確認、分析に基づく安全性対策の検討を行う『通常の医薬品安全性監視活動』と市販後の有効性・安全性確認を目的とした『一般使用成績調査』の記載があります。

一般使用成績調査は2022年3月23日まで計画されている模様です。この試験をもって先ほど上げられた特定&潜在リスクと有用性を確認することを目的としています。

リスク最小化計画

続いてリスク最小化計画です。以下はリスク最小化計画の一覧表です。

f:id:HKS17881:20200519121244j:plain
アビガンRMPより引用

指導せんや同意書といった患者様向け資材、医療従事者向けの資材の作成とそれを行うタイミングが記載されています。これをもとに製薬会社はリスク最小化活動を行っています。

これを確認すると安全管理に関わる指導せんは一覧で確認できるので医療従事者の方には使える知識かなと思います。

少しだけ個人的な興味を話させていただきますが、

私は通常の医薬品安全性監視活動がどのように行われるかという点に興味があります。

市販後の副作用情報の収集と解析結果の提供は医薬情報担当者(MR)が行いますが、アビガンの販社のMR数は決して多くは有りません。MRは発売後は納入施設に最低2週間に1度は訪問することがルール付けられていますが、それが十分に行えるのか否か少々不安を感じます。

メディアの盛り上がりによって2週間でMRが訪問できる以上の施設にアビガンが納入された場合、安全性監視活動は形骸化してしまい。重大な副作用の報告が遅れ被害が拡大し薬害につながる可能性が否定できないと考えています。

厚労省は当然この辺りは把握しているはずですので、何らかの対策は取られるとは思いますが、それがどのような対策になるのか気になります。

MR数の多い他社と一緒の販売したりするのかもしれません。

最後に

RMPに関してご紹介をさせて頂きました。

特定されたリスクや潜在リスク、そのた検討事項をまとめた対策を記した資料です。

皆さんの健康管理には寄与する可能性の大きい資料ではないでしょうか。

RMP提出品目一覧 にRMPが存在する薬剤はすべて記載されています。

一度、服薬されている薬のRMPを確認されてはいかがでしょうか。

アビガン追適後のRMPも要チェックですね

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