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リュープリンSRが欠品【競合品は出荷調整】

リュープリンSRが欠品

市場からリュープリンSRが消える

武田薬品が一時代を築いた薬剤リュープリンSRが欠品するようです。さらにSRではないリュープリンも出荷調整に入ります。これは大問題に発展する可能性のあるニュースです。

いろいろな欠品が最近発生していますが、命に直結して代替療法の存在しない欠品という意味ではインパクトが大きい事件だと思います。

まだまだ未確定の情報も多いですが、現状わかっている範囲でまとめております。ご確認ください。

 
何故か武田はプレスリリースでWEB発表していない…

武田薬品工業ではなくて泌尿器科学会が先に案内文を掲示してますね。

http://www.urol.or.jp/cms/files/info/96/%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%EF%BC%88HP%EF%BC%89.pdf

遅れること6/17に武田薬品も医療関係者向けサイトでお詫び文を掲載しました。

https://www.takedamed.com/sp/

当日、この件でFDAからのWarning Letterを受けたことに関してはプレスリリースが出ました。お詫び文を真っ先にプレスリリースするんじゃないんですね…Warning Letter記事末に「当社は、製品供給が滞らないよう、日々モニターを続けてまいります。」って書いてあるんだけど、なんか違和感感じます。欠品してるじゃん…と

https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2020/20200617-8175/

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リュープリンSRってどんな薬?

リュープリンSRってどんな薬?

リュープリンSRの簡単な紹介をします。リュープリンには通常規格とSR,PROという3つの規格が存在します。SRはsustained releaseの略で徐放剤、ゆっくり薬物が放出される薬という意味です。PROはSRのマイナーチェンジ版という感じです。

 
今回欠品するのはSRです。通常版は出荷調整。PROも出荷調整継続です。

3つの薬は適応症も少々違います。SRの適応自体は3ありまして

  1. 閉経前乳癌
  2. 前立腺癌
  3. 球脊髄性筋萎縮症の進行抑制

この3つになります。SRではない通常のリュープリンは子宮筋腫の関連の適応症もあります。PROは閉経前乳癌と前立腺癌です。

SRの適応症の3疾患はどれも命に直結するものばかりです。その中でも球脊髄性筋萎縮症は代替療法も存在しません。現状適応症を持つのはリュープリンSRだけです。

この薬の役割を簡単に言うと「乳がんの悪化因子のエストロゲン」、「前立腺がんの悪化因子のアンドロゲン」の生成を抑える薬なんです。これらの生成を抑えることでがんの進行も抑えるって訳です。球脊髄性筋萎縮症も同様にアンドロゲン抑制で効果を発揮していると考えられています。

また違った見方をすると薬を使って男性は去勢した状態、女性は生理が止まった状態にします。この2つのがんの薬物療法の基本みたいな薬なんです。

前述のとおり、球脊髄性筋萎縮症は代替治療がありませんし、2つのがんにしても、基本治療薬なんです。これがなくなる訳ですから大問題です。

欠品理由は?

欠品理由は?

武田薬品工業が配っているお詫び文書を要約すると

『リュープリンの製造所である光工場で定期シャットダウン期間中に逸脱が確認されました。対応として工程の再検証業務を実施する為に製造再開予定時期が遅れ、5月中旬より出荷調整を開始していました。しかし条件検討に時間を要したため当初の供給計画に遅れが生じました。その上、規制当局の定期査察を受けて製造プロセスを厳格化したことや当局から追加指摘を受けたため、対応のため生産停止を実施しました。結果、供給量が低下し需要に追い付かず欠品します。』

というものです。

 
大雑把に言うと、違反あったので対応したら思ったより時間かかってます。今、薬作れていません。近い将来在庫を使い切ってしまいます。というものですね。

武田薬品工業のMRに確認したところ、直接の原因ではないが欠品時期が早まった要因として某大手チェーン病院が品薄になっている情報をつかみ6か月分を一括購入したため一気に在庫がなくなったそうです。

武田のMRも欠品になる事実を知らない状況での一括購入だったそうで、社員にも隠されていた情報がなぜ掴まれたのかは不明とのことでした

 
なんだかきな臭いですね
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代替品は何がある?

代替品は何がある?

こうなってくると、必要なのは代替品です。

先発競合品は

  • ゾラデックス
  • ゴナックス

後発品は

  • ニプロ後発品
  • あすか製薬後発品

上記4製品が製造されています。

4つもあるなら代替品に切り替えればいいじゃんと思われるかもしれませんが、リュープリンは後発品が出たとは言え未だに市場の多くを占める製品です。代替品も増産に入るとはいえ直ぐには緩衝できるだけの物量は確保できません。

正式発表はありませんが噂によるとほぼ全社出荷調整とのことです。すでにゴナックスは出荷調整に入っています。競合他社からしてみてば大きなビジネスチャンスではありますが、既存のお得意様には何としても薬を届けなければ大きな信用問題となってしまいます。

※あすか製薬はプレスリリースを確認しました。

https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/news/filedownload.php?name=8678b406044a2c9786c98eb2676a25c9.pdf

 
リュープリンが空けた穴を埋めるために既存の顧客を蔑ろにする訳にはいきませんからね。残念ですが当然の対応かと思います。

がん患者に基本治療薬が使えない

がん患者に基本治療薬が使えない

6/16現在製造再開の見込みは全く分からないそうです。、がんの進行を止めているリュープリンSRが切れ、がんが進行を許す日がやってきてしまいます。SRではないリュープリンも出荷調整に入っているため、SRの患者を切り替えて使うことも困難です。

前立腺がんの患者は薬物による去勢ではなく外科的な去勢をしなければいけなくなるのでしょうか。それとも抗アンドロゲン剤で対応しきれるのでしょうか。

前立腺がんは患者によっては進行のスピードが遅いので欠品でも対応できるかもしれませんが、閉経前乳がんは若い女性ということもあり進行は早いです。ハーセプチンや抗エストロゲン剤で対応できるのでしょうか。困難が予想されます。

どちらにせよ現場の医師には多大な迷惑と心労がかかりそうです。

 
なにより代替のない球脊髄性筋萎縮症の患者さんはどうするのでしょうか。
 
球脊髄性筋萎縮症の患者さんは数が少ないので、会社が患者と薬を紐づけて在庫管理することで、できるだけ長期間使えるよう対応するらしいよ。

正直、まだまだ未確定の部分が多いので追記・修正して対応していきます。