お疲れ様です。社畜のチクチクです。
2020年9月18日にスタジオジブリ作品の場面写真が公開されました。
「常識の範囲内でご自由にお使いください。」とのことで、Twitterでも「#ジブリで学ぶ~」シリーズが色々と発信され、かなり盛り上がりを見せています。
盛り上がるの大好き人種のMRも当然参画していまして「#ジブリで学ぶMR」と言うハッシュタグが登場しています。
そこで、今回は、「#ジブリで学ぶMR」について、MR業務の解説を交えながらまとめてみました。
って人にMRの現実を見せて差し上げます。
この場を借りて御礼申し上げます。
MRの基本的業務の現実をお伝えします。
なお選定にあたり下記基準で選定させていただきました。
- 誰かを嘲笑する様なものではない
- MR業務内容が垣間見える
- ジブリより使用許諾が降りている画像を使っている
- 掲載許諾がいただけた
- 社畜が笑った
中傷っぽいものは不快に感じる医療従事者に配慮し除外しています。
ジブリという平和な世界にキズつく人はいらない…
なお当記事は「のりすさん」のブログ「治験の力」に強くインスパイアされております。
下記バナーから併せてぜひご覧ください。
前編では基本的業務関連のツイートを紹介します。
業務内容は基本的に共通ですので、もっとも話題としては多かったように思います。
詰め作業関連
詰め作業のツイート本当に多かったですね。
…精神的負担が大きい業務なんでどうしても多くなってしまうのかもしれません。
最近はやらない企業も増えてきたのですが、年度末や期末に計画達成までギャップがあると、医療機関に無理を言って多めに発注してもらって売り上げを作るという作業をMRは行います。
医薬品卸さんや顧客の間に入って購入量の調整を行いながら、購入のお願いをするという少し高度な調整能力とコミュニケーション能力が必要となります。(半年分一気に買ってもらうということすらあります。)
日頃からの信頼関係がモノを言う上に、生産性はなく、借りも作るというMRにとってはしんどい業務です。
しかし会社全体としてはステークホルダーと約束した売り上げを(見かけ上でも)達成することで、企業の信頼や株価につながるという大切な業務でもあります。
1万錠つめる?
1錠100円の薬の場合。1万錠は100万円の売り上げに相当します。200円の薬ならば200万円です。
多くのMRは200万から500万くらいの売り上げが期末に足りなくて地獄を見ています。
そんな中、医療機関に訪問し
MR:『無理なお願いなのは重々承知していますが、どうしても実績が足りません。弊社製品の○○を2万錠詰めさせてはいただけないでしょうか』
薬剤師さん:『2万!!おおいわね!!でも社畜さんにはお世話になってるし1万ならいいわよ!!』
MR:『ありがとうございます!!《よっしゃーーーーーーー》』
《電話:プルルルルルルルル》
MR:『上司!!一万錠詰めて良いって言ってもらえました!!!』
嬉しいですよね!!
ヤバい岩牡蠣屋さんのツイートで私も気持ちよくなりました。
正直精神的にめちゃめちゃキツイ業務
詰めを聞いてくれる全ての医療機関にお願いに伺ったにも関わらず、最終日を迎えても100%達成せず、
100~99%の間で終了しそうな状況になると、MRはこの状態に追い込まれます。
ギリギリの状態って辛いですよね?更に神頼みになると辛くなります。
99.9%の達成率と95%の達成率だと前者の方が会社への貢献率は高いですが、めちゃくちゃ怒られるのは99.9の方です。
この0.1のコントロール能力の欠如を上司はめちゃくちゃ嫌います。
製品説明会
製品説明会はMRの重要な業務の一つですので、これもそこそこ多かったように思います。
製品説明会は医療機関に赴きパソコンとスライドを用いて自社製品の情報提供を行うイベントです。
昼食や、夜食時間だと弁当を用意して食べながら聞いてもらいますが、余計な贈賄と疑われないように、法律や社内ルール、業界ルールで厳格に規制されて運用がされています。
講演形式で情報提供ができるため医師に自社品の情報を深く理解していただく事が可能なので非常に大切なイベントなんです。
ルールは厳格
先ほど、厳格にルール管理されていると記載しましたが、製品説明会におけるルールの中に『1対1の説明会では弁当提供を認めない』というものがあります。
しかしながらこのルール、昔はなぁなぁな部分がありまして、説明会を医師だけが聞いて、スタッフは聞かないけど、医師+スタッフの弁当を提供するということが行われていました。
当然ルール違反なので現在は是正されていますが、顧客側ではメーカーの説明が不十分で、この変化を受け止め切れていない場合があります。
そんな時にこんなやり取りが行われますね。
医師「え?できないの?」
MR「はいできません!!」
医師「だーまーーrrrre(# ゚Д゚)」
といった感じでしょうか?
最近は『時代だな』と理解を得られるケースも多いですが、厳格化された際にはKiyokaさんのツイートの様に激怒する顧客も沢山いらっしゃいました。
社畜も何度も怒られましたね(笑)
でもダメなんです!!バレたら懲戒なんです!!
懲戒免職は流石にやばいってわかってもらえますよね?
そんなこと位と思うかもしれませんが、製薬会社はルールにめちゃくちゃ厳しい会社が多いです。
問答無用で懲戒くらいます。
私たちもサラリーマンなんで最低限の社内の評価は大切なんです…
弁当選びも重要な業務
説明会に関連して、持っていくお弁当選びのセンスもMRには求められます。
顧客の好みを理解し、他社よりもいいものを持っていくことで、食事に感動してもらい説明会の内容をより覚えてもらう必要があります。
薬の効果に関係ないじゃん!!と非営業の人は思われるかもしれません。
しかしながら、ピークエンド効果というものがありまして、人は最後の部分と最も心が動いた瞬間の事柄しか長期記憶しないという特徴があります。これは本能ですのでどうしようもない部分です。
視覚効果は当然ですが、聴覚や味覚を刺激するお弁当を活用することで感動を演出し説明会の内容をより覚えてもらうという工夫なんですね。
『あいつの持ってくる弁当まずいから(薬を)使わない』と言われているのを見たことがあります…
気合をいれて選んだお弁当屋に意気込んで弁当を取りに行き、予定より少し早く到着したときにだるさしかないMRさんのツイート事件は起こります。
早く着きすぎて、弁当屋がまだ弁当を詰めている最中なんです。
とは言っても15分くらいだと思うのですが…
なぜか、美味しくて他社にあまり知られていない秘蔵の弁当屋やレストランで、この事件は起こりやすいと思います。
講演会関連
講演会も大切な業務です。
今はコロナ対応でめっきり減っていますが、多い時は毎週講演会が有ったりします。
なお現在一番多いのはおそらく第一〇共さんですね。
講演会はオピニオンリーダーと言われる全国的に有名な医師や、地区で力を持っている医師にお願いし自社製品波及のための講演を行っていただきます。
力のある医師の言葉ですので、(MRの力不足で)MRの言うことは信じなくても医師の言うことは信じられるという医師に聞いてもらえれば、非常に効果的です。
またエリアの重要な先生に講演の座長をお願いし、半ば強制的に講演を聞いてもらい製品メッセージを届けるという顧客対策的な側面を持ちます。なおMRが現在使える単回の経費としては講演会が最も大きく30~200万円くらいのお金が動きます。
当然一大イベントです。
大金を投じるイベントなので失敗は許されません。成功して当然みたいなプレッシャーがあります。
みんな集客&運営に必死です。
講演会中
報酬系MRさんのこのツイートは講演会が大成功の時に起こりますね。
講演会に多くの顧客が来てくれて席がほとんどなくなった。かつ、顧客が遅れて来てくれた時に起こります。
この時、受付のMRは会場の空き席に顧客を案内しなければなりません。
でもどこに席があるかはわからない…更に会場は真っ暗でどうしようもない…
そんな時は会場担当のMRが颯爽と現れて、どこに席が空いているか教えてくれます。
「右5前2!!」といった具合です。
講演会中はみんな必死ですからね、この一瞬の連携で顧客をスムーズに席まで案内します。
情報交換会
講演終了後だいたい1時間くらいの医療従事者間の情報交換会が行われます。立食のパーティーです。
講演内容について話し合ったり、講演者の医師に挨拶したり、といった顧客間の情報交換が行われます。医師同士で話しているときはMRは遠くから見つめていますが、先生が一人になると話題をふりながらもてなし、頃合いをみて講演の薬をどう使っていくのか相談します。(ざっくりいうと営業します。)
講演会中も忙しいですが、ゆっくりと顧客と話せるこの場はMRにとってめちゃくちゃ重要です。

もちろん、ただ突っ立ている訳ではなく顧客のビールや食事が空いたらすぐに補充し会話が盛り上がるように努めます。
顧客に誠心誠意対応し、その後、二人っきりで話せるタイミングを虎視眈々と待ちます。
ただのMRミルクちゃんさんのこのツイートからは虎視淡々と食事を提供するタイミングを狙う様子が伝わってきませんか?

これは片付けに伴うツイートです。
Drの多くは派閥で固まって情報交換を行っています。
ある程度、重要顧客と商談した後は、できれば早く終わりたいのが人間というものですよね。
情報交換会はPM8時とか9時から始まることが多いのであまりに会が長引くと、流石にしんどくなってきます。
情報交換会が始まり、早い段階で重要顧客に帰られると商談ができないというダメージがありますが、講演を聞いてもらうという大目標は達成済みです。
最大派閥が帰宅すると一気に会場がさみしくなり、なんとなく早く帰る顧客が増え終了スピードが飛躍的に早まります( ´∀` )
早く終わると料理が沢山あまります。余った料理は終了後の宴会でMRの胃袋に入ります。
MRは宴会好きな人がおおいので、卓吉村 さんのツイートは宴会の早期開始と大量の食糧確保を喜ぶ気持ちが見て取れますね。
講演準備
続いて準備の話です。
講演会中よりも講演会前や準備中の方が時間が長いので、トラブルは起こりがちです。
先ほど、講演会は成功して当たり前と書きましたが、当然企画の失敗や運営の失敗があれば悲劇を招きます。
講演会開始直前になると、上司や役割のあるMRがどれくらい集まっているか確認に来ますが、その時に3人しか集まっていないとかなりの確率で失敗です。
講演会開始5分前に会場に3人しか顧客がいない状態を想像してみてください。やばいですよね?
そしてこれも地獄です…
契約書は顧客のサイン&押印前ならば、どれだけなくしても大した問題ありません(問題はありますが、なんぼでも再発行できます)
…が顧客がサイン&押印をした瞬間に超大切な公的文書に早変わりします。
これがなくなるとほぼ100%始末書もんです。
もしそんな大切な書類が見つからなっからどうでしょう?死ぬ気で探しますよね?
そんな時はねこねこ時短MRさんのツイートのように資材を床にひっくり返して探すということが必要になってきます。
鞄の中を全て出して、床中にばら撒いて隅から隅まで確認します。なければ営業車の中もくまなく探します。
これ本当に失くすと大問題なんです。
ねこねこ時短MRさんのツイートからはその悲壮感がかなり伝わってきます。
全国講演会
最近はコロナ対応でほとんどなくなりましたが、 MR には全国講演会という業務があります
通常は地方の各々のホテルで行われる講演会ですが、年に数回本社企画の東京や大阪等の大都市で実施する講演会があります。
それが全国講演会です。ここに攻略したい顧客を招聘し、講演を聞いてもらうと同時におもてなしをします。
顧客は旅行と勉強ができ、MRは製品メッセージを沢山聞いてもらう貴重な機会です。なお多くの会社では先生を現場でもてなすために MR も会場に赴きます。
若いMRにとっては大都市に行く貴重な機会になります。なお年齢重ねてくると早く帰りたくなります。
顧客と一緒に飛行機や電車で会場に入った場合は問題ありませんが、
顧客が自分一人で行く場合、まれに会場にこない不届きな顧客がいます( ´Д`)y━・~~
こないんですよ!!本当に!!バッチリ飛行機やホテルは使っているのに講演聞きにこないんです。(申し訳程度に最後にくる人もいます)
こうなってくるとMRはいてもたってもいられません。
会社に与える損害を結構なもので
- 顧客に渡したチケット、ホテル代
- 顧客のタクシー代
- MRの日当
- MRのチケット、ホテル代
- その他、予定調整にかかった人件費
- 他の顧客を呼べるはずだった機会損失
ざっとこれだけの経費と機会が無に帰ります。
製薬剤師 MR4-7年目さんも書かれていますが、日当泥棒と揶揄されます。
更に後日上司には叱責されるでしょうし、チケットの回収にも伺う必要があります。
行事参加
MR には顧客が主催する行事に参加するという大切な仕事があります。
特に開業医担当の MR には多いです。
行事参加は戦争
行事に呼ばれた MR の仕事は何が何でもこの会を盛り上げ成功させることです。
どんな人でも個人の頑張りは見ているもので、盛り上げるために必死に戦っている MRを顧客は必ず見ています。
そういった頑張りが処方につながったりすることがあるので行事参加は MR にとっては戦場です。
学術的に提案することも重要な仕事ですが、宴会を盛り上げて話を聞いてもらいやすい関係を作ることも重要な仕事なんです。
こういった行事の中でよく行われるのがビンゴ大会です。
現在多くの会社ではビンゴの景品の受け取りを禁止していますが、一昔前は普通に受け取っていました。
しかしながらそこには暗黙の了解があります。
MR は絶対に当たってはいけないという暗黙の了解です。
こういった会の本来の目的は何か考えてみてください。
日頃頑張って働いてくれているスタッフをもてなすために院長が行っているイベントです。
MRに期待される役割は盛り上げ要員です。
これをわかっていれば、MR がビンゴに当ることのヤバさがおわかりいただけるかと思います。
でも新人の MR の場合はこの辺か分からなかったりするんですよね。
多くの場合はエリアの先輩MRが教えてくれますが、その指導が不十分だったりするとビンゴに当たってしまい景品をもらってしまう悲劇が発生します。
ほとんどの顧客はそんな事で怒ったりはしませんが、他社の頑張って盛り上げているMR から見ると「何やっているんだよ」という気持ちが溢れ出してきます。
マスカル@MRさんともやぃ@MR さんのツイートは新人に指導する先輩MRと当たっちゃって万死に値する行動をとったMRを揶揄する言葉がバッチリ描かれていると思います!!
重要看護師や事務長の家族に当たったビンゴわたすとか本当にあるあるです。
(多くの場合景品は返品します。

競合他社=敵であり戦友
これは MR の特殊な特徴ですが、競合他社と非常に仲良くなります。
毎日、医薬品卸で顔を合わせたり、宴会を盛り上げるという共通の目的で頑張ったり、多くのイベントで一緒にお酒を飲み交わすうちに自然と仲良くなっていきます。
私も日中はバチバチに戦っているメーカーがありますが、ランチは一緒にいきますし、夜は呑みに行きます。
顧客に関する情報交換も(虚実混ぜながら)積極的に行います。
普通の会社だと競合とここまで仲良くなるということはあまり考えられないと思いますが、
右手で握手しながら、左手で殴り合う関係がMRにおける競合他社との付き合い方です。
忘年会でも顧客がいないテーブルで MR だけが集められるというのはよくあります。
こうなると 同じテーブルのMR のために頑張っても仕方ないので、和気あいあいと話し単純に楽しむことに徹します。
もちろん頭の片隅には常に顧客のことがありますので、何か盛り上げなければならない場合は、すぐに活動はします。
…が、そうなるまでは日頃の疲れを忘れ、仲良く話し合う風景がキチキチの藻 さんのツイートには現れていますよね!!
あとがき
ジブリで学ぶMR面白いですよね。
かなりMRの現実が見えるツイートに溢れていてまとめていても選定に非常に苦労しました。
今回は業務関連でしたので、かなり地獄、地獄言っていましたが、これはツライことほど記憶に残りやすいし、笑いにもなりやすいのでセレクションがかかってしまったのかなと思っています。
なお掲載ご快諾いただけたみなさま、誠にありがとうございました。
改めて御礼申し上げます。
ご連絡させていただいた中で、未だ掲載していないツイートは後編で紹介させていただきます。今しばしお待ちください。
余談:ジブリとMR
数あるジブリの中で最も生命倫理、生きる事への是非を問うのは漫画版ナウシカだったりするんです。
映画版とは別物です。
7巻読むと命とは何か問いかけるゴリゴリの生命漫画が本質だったりします。