お疲れ様です。お薬売り(MR)のチクチクです。
MRの晴れ舞台の一つに新薬の製品説明会というイベントがあります。
自社品の情報を医師、薬剤師、その他医療関係者に自社製品をより有用に使っていただく為にプレゼンします。
まだ誰も使った事がない新薬の情報をたくさんの人の前でわかり易くプレゼンすることはMRの醍醐味です。
…という事です。
直近でも新しい薬の承認を控えていますが、その薬も良い点悪い点がバッチリ混ざっていて、「プレゼンどうしよう!?」と若干迷子になっています。
第一印象が採用の有無を決める新薬採用の場合、この順番の違いが意外と大きな差を生むかもしれません。
一つの施設では少しの差でも多くの得意先で違いをうめば、社内のライバルに差をつけられてしましいます。
どちらがデメリットを最小化し、メリットを最大かする話法でしょうか?
本記事では本記事ではゲイン・ロス効果、初頭効果、確証バイアス、ピーク・エンドの法則という観点からより効果的なプレゼン方法を学んでいきたいと思います。
ゲイン・ロス効果を狙ってデメリットから話そう。

ゲイン・ロス効果
根拠となっているのはゲイン・ロス効果です。
アメリカの心理学者、Aronson & Linder(1965)による魅力度評定の実験により確認された効果です。
この効果は、ただ褒めるよりも初めに少し否定的な評価をして後で好意的な評価をした方が相手に対する評価が高くなるというものです。
少々難しく聞こえますがなんてことはありません。
単なるギャップ萌えです!!
不良が猫に傘さしてあげててキュンとした!!ってやつです。
人間にはマイナスからプラスへ、プラスからマイナスへ触れた時に必要以上に良い評価をする性質があります。
これはある種、人間に備わった本能です。
・痛いですが、効果はある薬です。
・効果はありますが、痛い薬です。
言っている内容は同じなのに不思議ですよね。これがギャップ萌えゲイン・ロス効果です。
この効果はギャップが大きくなるほど強くなりますので、文章の前後の文章を強調するとより、わかり易くなります。
・効果は強いですが、とても痛い薬です。
・痛いですが、とても効果がある薬です。
・とても痛いですが、最も効果がある薬です。
先にデメリットを言って、その後メリットを話す。そのギャップが大きければ良いイメージも大きくなる。
悪すぎる印象を与えないようにしよう。初頭効果に注意
以下3つの薬が貴方に効く場合、どの薬を1番使いたいですか?
— チクチク@お薬ブログ (@mrnetinfo) September 26, 2020
初頭効果を抑えゲイン・ロス効果を最大化する為にはデメリットは許容できる範囲である事が重要
補足:確証バイアス
似た様な事象として確証バイアスというものもあります。
これは最初のイメージに引っ張られて自分に都合の良い情報しか集めなくなることを言います。
最初のイメージが悪すぎると、悪いイメージの情報を支える情報をどんどん集める様に人はなってしまいます。
いきなりデメリットを前面に押してプレゼンをすると確証バイアスが強く働き思う様にプレゼンできない可能性もあるので
最初は疫学や治療のゴールと言ったプレゼンの目的から話すのがベターでしょう。
ピーク・エンドの法則

最後のまとめではポジティブな好印象を徹底的に狙っていく
どうやってプレゼンに取り入れる?
ここまでゲイン・ロス効果と初頭効果、ピーク・エンドの法則について解説させて頂きました。
最後にどうやってプレゼンに取り入れるべきか考察してみたいと思います。
これまでのポイントを再度まとめました。
①先にデメリットを言って、その後メリットを話す。そのギャップが大きければ良いイメージも大きくなる。
②初頭効果を抑えゲイン・ロス効果を最大化する為にはデメリットは許容できる範囲である事が重要
③最後のまとめではポジティブな好印象を徹底的に狙っていく
再三にはなりますが、この3つがポイントです。
製品説明会の際にも、言いにくいポイントを許容できる様に修飾し、かつメリットを大きく見せる事でゲイン・ロス効果を最大限利用し、最後のまとめではできるだけポジティブな印象を演出する事が最も効果的ではないでしょうか。
注意点としては医薬品の紹介時に「とても」や「非常に」と言った主観を伴う修飾語を使うと誤った情報になり、ルールに抵触してしまう可能性があります。あくまで事実ベースでゲイン・ロス効果を利用しましょう。
デメリットA、対応策B、メリットC、D、Eという様にメリットの数と対策でゲイン・ロスを演出する事がベターでしょう。
《説明会の流れの一例》
→導入&疫学
→問題点と治療ゴールの共有(確証バイアス回避)
→薬剤概要デメリット&対応策(ゲイン・ロス狙いと初頭効果回避)
→複数のメリット(ゲイン・ロス効果)
→DI
→メリットのまとめ(ピーク・エンドの法則)