プレゼンで良い話と悪い話どっちから先にするべき?

お疲れ様です。お薬売り(MR)のチクチクです。

 

MRの晴れ舞台の一つに新薬の製品説明会というイベントがあります。

自社品の情報を医師、薬剤師、その他医療関係者に自社製品をより有用に使っていただく為にプレゼンします。

まだ誰も使った事がない新薬の情報をたくさんの人の前でわかり易くプレゼンすることはMRの醍醐味です。

チクチク
病院担当だと100人以上の前でプレゼンする事も稀にあります。
MRのメインイベントです。日々スキルを磨いているMRもおおいです。
私も製品説明会は好きな方でCOVID-19以前は4〜6回くらいは説明会を行っていました。まぁ少ない方ではないと思います。

 

比較的説明会を行ってきた私ですが、ずっ〜〜〜〜〜と引っかかっている事がありまして、それが、
良い話と悪い話どっちを先にするべきなんだ?

…という事です。

 

直近でも新しい薬の承認を控えていますが、その薬も良い点悪い点がバッチリ混ざっていて、「プレゼンどうしよう!?」と若干迷子になっています。

第一印象が採用の有無を決める新薬採用の場合、この順番の違いが意外と大きな差を生むかもしれません。

一つの施設では少しの差でも多くの得意先で違いをうめば、社内のライバルに差をつけられてしましいます。

 

チクチク
メリットを先に紹介してから、デメリットを紹介するでしょうか。
チク子
デメリットを先に紹介してから、メリットを紹介するでしょうか。

どちらがデメリットを最小化し、メリットを最大かする話法でしょうか?

本記事では本記事ではゲイン・ロス効果、初頭効果、確証バイアス、ピーク・エンドの法則という観点からより効果的なプレゼン方法を学んでいきたいと思います。

 

チク子
悪いことは言わなければいいんじゃ…ケケケ
チクチク
それは生命関連産業としてアウト…どうやったら悪い印象を最小化できるか考えよう。

ゲイン・ロス効果を狙ってデメリットから話そう。

ゲイン・ロス効果を狙ってデメリットから話そう。
まずは結論です。
チクチク
勉強しました!原則デメリットから話しましょう。
チク子
オッケーわかった!!おしまい!!
チクチク
え…でも結論だけ知りたい人はここでOKです。ここからは理由と根拠、そして補足を紹介していきます。

ゲイン・ロス効果

根拠となっているのはゲイン・ロス効果です。

アメリカの心理学者、Aronson & Linder(1965)による魅力度評定の実験により確認された効果です。

この効果は、ただ褒めるよりも初めに少し否定的な評価をして後で好意的な評価をした方が相手に対する評価が高くなるというものです。

 

少々難しく聞こえますがなんてことはありません。

単なるギャップ萌えです!!

チク子
ギャ…ギャップ萌え???

不良が猫に傘さしてあげててキュンとした!!ってやつです。

人間にはマイナスからプラスへ、プラスからマイナスへ触れた時に必要以上に良い評価をする性質があります。

これはある種、人間に備わった本能です。

 

さてどちらの方が良い印象を受けますか?
・痛いですが、効果はある薬です。
・効果はありますが、痛い薬です。
チク子
言ってることは同じね
チクチク
でも前者の方が良い印象を受けるのではないでしょうか?

言っている内容は同じなのに不思議ですよね。これがギャップ萌えゲイン・ロス効果です。

この効果はギャップが大きくなるほど強くなりますので、文章の前後の文章を強調するとより、わかり易くなります。

・とても痛いですが、効果は強い薬です。
・効果は強いですが、とても痛い薬です。
修飾するとより差が生まれて見えます。
実際に現場で使うのはデメリット→メリットの形ですので、
「痛いですが、効果がある薬」という文章のゲインロス効果を最大化すると
・痛いですが、効果がある薬です。
・痛いですが、とても効果がある薬です。
・とても痛いですが、最も効果がある薬です。
と下にいくほど差が大きくなりますので、最後の文章が最も効果的になります。
ポイント
先にデメリットを言って、その後メリットを話す。そのギャップが大きければ良いイメージも大きくなる。

 

悪すぎる印象を与えないようにしよう。初頭効果に注意

ゲイン・ロス効果は
『ただ褒めるよりも初めに少し否定的な評価をして後で好意的な評価をした方が相手に対する評価が高くなる』
と紹介しました。
そうです。否定的な話は少しである点がポイントです。
「とても痛いですが、最も効果がある薬です。」がゲイン・ロス効果が強いと紹介しましたが、実はこれだと否定が強すぎマイナスの効果が発生しています。
そのマイナスの効果を初頭効果と言います。
初頭効果は最初のイメージがあまりに良かったり悪かったりすると、その印象が強すぎてゲイン・ロス効果がうまく働かなくなることを表しています。
実際に先程の組み合わせでTwitterでアンケートを取ってみましたが、「とても痛いですが、最も効果がある薬です。」は2番手です。

ゲイン・ロス効果が最大限に働き最もイメージが良くなるかと思いきや、とても痛いという言葉の悪い印象が強すぎて初頭効果により足を引っ張られています。
チクチク
あまりにもデメリットが強烈だとゲイン・ロス効果が十分に働かなくなってしまいます。
ポイント
初頭効果を抑えゲイン・ロス効果を最大化する為にはデメリットは許容できる範囲である事が重要

補足:確証バイアス

似た様な事象として確証バイアスというものもあります。

これは最初のイメージに引っ張られて自分に都合の良い情報しか集めなくなることを言います。

最初のイメージが悪すぎると、悪いイメージの情報を支える情報をどんどん集める様に人はなってしまいます。

いきなりデメリットを前面に押してプレゼンをすると確証バイアスが強く働き思う様にプレゼンできない可能性もあるので

最初は疫学や治療のゴールと言ったプレゼンの目的から話すのがベターでしょう。

ピーク・エンドの法則

ピークエンドの法則
プレゼンに欠かせない法則としてピーク・エンドの法則も紹介します。
ピークエンドの法則は、行動経済学者のダニエル・カーネマンが1999年に発表した法則です。
人はほとんどの経験を最も感情が高ぶった瞬間(ピーク)と最後の印象(エンド)で判断するという内容です。
つまりプレゼンのほとんどは判断材料になりません。顧客の心を動かした瞬間と最後が大きな判断材料となっています。
顧客の心を動かすであろうデータ自体はあたりをつけて紹介することは可能ですが、確実に心を動かすかというと違います。
人の心ということもあり、少々コントロールが難しい部分です。対して最後の印象はプレゼン側がコントロールする事が可能です。
最後の部分にメリットを持ってきたり、再掲する事でゲイン・ロス効果とピークエンドの法則の重ねがけを狙えます。
更にゲイン・ロス効果により顧客の気持ちも動き易くなりピークとエンド両方の効果が得られる可能性も上がると思います。
チクチク
ドラクエ的にいうならばバイキルトの重ねがけです。狙っていきましょう。
チク子
メーカーの説明会では難しいけど、講演の最後に感動的な曲を流す講師はこれを狙っているらしいよ。
ポイント
最後のまとめではポジティブな好印象を徹底的に狙っていく

どうやってプレゼンに取り入れる?

どうやってプレゼンに取り入れる

ここまでゲイン・ロス効果と初頭効果、ピーク・エンドの法則について解説させて頂きました。

最後にどうやってプレゼンに取り入れるべきか考察してみたいと思います。

これまでのポイントを再度まとめました。

ポイント
①先にデメリットを言って、その後メリットを話す。そのギャップが大きければ良いイメージも大きくなる。
②初頭効果を抑えゲイン・ロス効果を最大化する為にはデメリットは許容できる範囲である事が重要
③最後のまとめではポジティブな好印象を徹底的に狙っていく

再三にはなりますが、この3つがポイントです。

製品説明会の際にも、言いにくいポイントを許容できる様に修飾し、かつメリットを大きく見せる事でゲイン・ロス効果を最大限利用し、最後のまとめではできるだけポジティブな印象を演出する事が最も効果的ではないでしょうか。

 

注意点としては医薬品の紹介時に「とても」や「非常に」と言った主観を伴う修飾語を使うと誤った情報になり、ルールに抵触してしまう可能性があります。あくまで事実ベースでゲイン・ロス効果を利用しましょう。

デメリットA、対応策B、メリットC、D、Eという様にメリットの数と対策でゲイン・ロスを演出する事がベターでしょう。

《説明会の流れの一例》

→導入&疫学
→問題点と治療ゴールの共有(確証バイアス回避)
→薬剤概要デメリット&対応策(ゲイン・ロス狙いと初頭効果回避)
→複数のメリット(ゲイン・ロス効果)
→DI
→メリットのまとめ(ピーク・エンドの法則)

チクチク
全体の流れを考えるとこんな形が良いのかな?
チク子
他にお詳しい方いらっしゃいましたらTwitterで教えてください。
チクチク
今回はコレでおしまいです。最後までお読み頂きありがとうございました!
チク子
定期的に製薬業界ネタを発信しています。面白かった方はTwitterでも絡んでください!!