三重大学病院麻酔科不祥事の解説【49Pの報告書を要約】

三重大学病院汚職事件の解説
楽しいチクチク
チクチク
ついに、この問題を解説する時が来ました。
本記事は三重大学病院麻酔科不祥事の解説記事になります
チク子
正直、ちょっとデリケートなので
外部報告書が出るまであえて紹介を避けていました。
MRは思うところが多い事件よね。
喜ぶチクチク
チクチク
今回外部報告書が8月6日に提出されました。
ポイントを要約しながら
あらましと各部解説を行なっていきます。

本記事の効能効果

三重大学病院麻酔科不祥事と
製薬会社の寄付金について詳しくなれます。

具体的には
・製薬会社の大学に対する寄付金ってなに?
・会社は知らなかったったの?
・結局、小野薬品の問題点ってなに?
と言う疑問に答えます。

三重大学病院麻酔科不祥事の概要

三重大学病院汚職事件の概要

三重大学麻酔科不祥事は
下記3つの問題がとわれている事件です。

  • 三重大学医学部附属病院内で臨床麻酔科の教授が第三者供賄
    (同氏は日本光電工業株式会社から「BAMエンカレッジメント」へ200万円の送金を受けたとする第三者供賄もある)
  • 同大学臨床麻酔部元准教授が診療報酬を不正請求したとして公電磁的記録不正作出
  • 小野薬品プライマリー統括部中部営業部長、同部三重営業 所三重病診2課長が贈賄

※余談:第三者供賄
公務員が特定の職務行為を行うよう、または行うべき職務をしないよう依頼(請託)され、
第三者への賄賂を供与させたり、その要求・約束をしたりする罪。
刑法第197条の2が禁じ、5年以下の懲役に処せられる。供賄罪。

出典:goo辞典

この事件をすっごいざっくり言うと
教授が見返りに薬を使うと製薬会社に持ちかけて
その見返りに大学に対する寄付金を依頼して
小野薬品は受けてしまった…
(ここで処方を前提とした不当な契約が発生)

実際、教授は処方を増やすと同時に部下にも使用を指示
うち准教授は
『使う必要のない患者でも使ったと記載して薬は廃棄』
診療報酬を請求した(公電磁的記録不正作出)
(さらに不正行為の実施により第三者供賄と小野薬品社員の贈賄が確定)

教授は寄付金の約束を満たすために
わざわざ犯罪行為に手を染めたんです。
これが公務員である教授の職務行為を縛ったとみなされて
小野薬品と教授双方に供収賄が認められた訳ですね。

楽しいチクチク
チクチク

正当な使い方をしていたら
何事もなくグレーゾーンとして処理されていた事件ですね。
2014年くらいまで内資系製薬会社で大学担当をしていると
同じような経験を多くの人が持っているはずです。

 

そしてココまで聞いて
多くの方が以下疑問を持たれたでしょう。

・製薬会社の大学に対する寄付金ってなに?
・会社は知らなかったったの?
・結局、小野薬品の問題点ってなに?
楽しいチクチク
チクチク
かなり踏み込んだ内容になりそうですが、
外部報告書を要約しながら
上記内容も解説をしていきます。

製薬会社の大学に対する寄付金ってなに?黒いお金?

製薬会社の大学に対する寄付金ってなに?黒いお金?

まず大前提として
製薬会社から大学に対する寄付は普通に行われています。
報告書にも記載がありましたので
寄付金の趣旨、目的を引用すると

本件で問題となった奨学寄附金は、「学術研究の振興及び研究助成を目的として行われる寄附金のうち、大学をはじめとする研究機関に対する教育・研究等の奨励を目的とした寄附金」あるいは「大学において、 学術研究に要する経費など教育研究の奨励を目的とする経費に充てるべ きものとして、学外機関(企業、個人)から受け入れる寄附金」と定義されている。

引用:調査報告書

記載にもあるとおりその目的は
研究機関に対する教育・研究等の奨励を目的

とするものです。
本来は全く営業的側面のない純然たる善意の寄付です。
なので、本来の目的の通りに運用されれば供賄や収賄になることはない
クリーンなお金なんです。

ただ、製薬業界。特に内資系の企業においては
2014年くらいまでは、ほぼ全ての会社が営業部門が、寄付金先をコントロールしていました。
営利企業として考えた場合、寄付金であってもどのように使えば利益を最大化できるか
こう考えると営業部門がコントロールするのがベストな訳です。

昔はインターネット技術も未発達で
お金の追跡技術も低く、さらに国内においては内資が大きな力を持っていましたので
全く問題なく運用されていました。

実際

MR
寄付金頑張りましたから
うちの新薬薬採用なんとかなりませんか?
有力医師
わかった!任せろ!
どう使えばいいか話聞くわ!
楽しいチクチク
チクチク
これくらいのことが普通に行われていました。
もともとこんなブラックに近いグレーな環境で
製薬業界の寄付金は運用されてきた過去があります。

寄付金が営業の手から離れるも各社対応はバラバラ

ただ、各種制度のグローバル化の中で
営業がお金使って薬使わせるのって、患者さんのためにならないよねー
と言う流れになりまして、
営業部門が直接医師に払えるお金はどんどん減っていきます。

そして大きな変化を迎えたのが変化が
日本製薬工業協会が施工した
「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」です。

このガイドラインは
医療機関や医師等に支払った金銭の情報を開示する
と言うもので、
製薬会社が誰にどれだけお金を使っているか
一般の人にもはっきりと分かるようにするものです。

悲しいチクチク
チクチク
これが決定打になり、
まず接待が禁止されます。
2012年4月のことです。

このような大きな流れの中、
寄付金も営業部門がお金握っていると
不正な取引の誘引になるので中止しよう!
と言う流れになります。

しかし
これに関しては各社対応がまばらでした。
と言うか二の足を踏みました。
と言うのも顧客の怒りを買うことを容易に想像できたからなんです。
これまでは営業部門主導のもと、
どこに研究寄付金を入れるか決裁ができました。
なので、
肝心の大学の研究内容があまり優れていなくても
営業的な利益があれば寄付が可能だった訳です。
多額の寄付を営業部門が行なっていた会社は
そうやって蜜月の関係を築いてきたわけです。
その決裁能力を営業から奪い、
純然たる研究への奨励として行うとどうなるでしょう?
研究の内容だけで研究寄付金を勝ち取れない大学は
それまでもらえていた研究寄付金が集まらなくなり財政が苦しくなる訳です。
当然、『なんでもらえないんだ!これまでこんなに可愛がってやったのに!!』
こんな不満が噴出することが容易に予想できました…
楽しいチクチク
チクチク
結果各社が二の足を踏んでしまった訳ですね。
そしてウダウダと時間が過ぎていく中で起こったのが
かの有名なディオバン事件です!

※詳しくはこちらの記事が詳しいのでご参照ください
→ディオバン事件ってなんだったの?

研究介入と同時に
営業部門から独立した組織が利害関係を確認した上で
寄付の可否を決定するよう求めます。
参考:日経新聞2014/04/23

これにより各社は顧客を怒らせるリスクと製薬協の命令と板挟みになりながら
寄付金制度を変化させていきます。

この時の対応をざっくり分けると
  1. いい機会と寄付金を営業部門から完全に切り離した会社
  2. 顧客に寄り添い、営業の介入を残し緩衝を試みた会社

この2つに分かれました。
①の対応をとった会社(武田薬品やアステラス製薬など)にこれまで頼っていて
研究内容だけでは寄付金を獲得できない顧客側は大パニック!!

まだまだ研究費をもらえそうな②の会社との距離を詰め寄付金を打診していく訳です。
(三重大学がそうだったかはわかりませんが…)

この改革は2014年〜2019年くらいまで
段階的に続いていきますが、

そんな中で
寄付金に営業が介入できなくなったり
会社として取りやめになったため断った大学担当者が
激怒されたり、出入り禁止になったり
こんなことが全国各種で起こっています。

まぁこれまでの経緯を考えると
仕方ない側面もありますがMRの私からすると、
当時はこんなふうに思っていましたね。

怒ったチクチク
チクチク
本来のあるべき姿に対応できない怒りをこちらにぶつけられても…
研究力ないの自分で言ってるだけですよね?
なおこんな事件が全国で起こりました…
チク子
適正な評価を受けて
寄付金を得ている研究者もいるのにね…
悲しいチクチク
チクチク
実際三重大学病院の担当者は
調査にこのように回答しています。

医師側からMRに対して奨学寄附金による協力が求められることは日常的と言ってもよいほどに常態化しており、寄附を断ることに よって医師から今後の取引に消極的なことを言われたり、そもそも接触すら許されなくなるということさえあったということである。
反面、寄附をすることによって良好な関係が構築でき、営業活動を容易に行うことがで き、それで処方増大、売上増大につながることが期待できたということである。

引用:調査報告書

怒ったチクチク
チクチク
赤字部分恐喝だよねw
そして今回の事件は
大学が寄付金に困っているパニック末期の2017年に起こります。さらに小野薬品は
前述②の顧客に寄り添い、営業の介入を残し緩衝を試みた会社であったことが
今回の調査報告書からも垣間見得ます。
楽しいチクチク
チクチク
次項では
この辺りに触れつつ
会社の対応を確認していきます。

小野薬品は悪事を知っていたの?

会社は悪事を知っていたの?

ココからは

会社は知っていたのか?否か?と言う疑問に
寄付の経緯を細かくみながら回答していきます。

先に結論を述べますと

会社は寄付の概要を知ってはいたが、
犯罪リスクと捉えていなかった。

という結論になります。

喜ぶチクチク
チクチク
それではこの結論までの
経緯を確認していきましょう。

営業部門の影響を残した対応だった。

寄付の経緯を確認するために
小野薬品の当時の承認体制を確認していきましょう。

なおポイントは
奨学寄付金に営業が介入できる体制を残していたことです。
小野薬品の寄付金の承認体制については詳しく報告書に記載があります。

小野薬品では、毎年、会社全体での奨学寄附金拠出のための予算枠が決められると、
プライマリー部門とオンコロジー部門とで概ね半分ずつに振り分けられ、その後、プライマリー部門に関してはプライマリー製品企画部で、オンコロジー部門に関してはオンコロジ ー製品企画部で、具体的な奨学寄附金の拠出先の候補を絞り込むこととなる。

プライマリー部門の予算枠についていえば、さらに、本社枠と支店枠に分けられ、支店枠についてはほとんど各支店(本件当時でいうところ の各営業部)で、拠出先候補が決められていた。なお、この拠出先候補の絞り込みについては、年内にほぼ完了している状況であった。

本社営業部門では、拠出先の医師が当該地域でどの程度の影響力を持っ ているか
(例えば、同人が講演をすると言えばどのくらい人が集まるかなど)などが考慮されていたとされる。なお、奨学寄附金の搬出先は一覧表 にして営業本部長まで回覧されており、営業部門において管理されていた。

〜中略〜

本社営業本部へ提出し、本社の営業管理部では担当者がこの書類を受領した後、営業管理第二室室長、営業管理部部長、新薬推進部部長、営業戦略統括部部長、プライマリー製品企画部部長を経て営業本部本部長のところまで回覧され、その後、これが総務部へ回付されると、総務部内での審査を経て最終決定されるという仕組みであった。
なお、総務部においては、営業部門から提出された奨学寄附金の申請書 に、奨学寄附金の支出先として適切であると判断できる研究目的・研究機関であること、研究成果の報告に協力する旨を確約した施設・診療科であること等がそれぞれ記載されているか内容を精査し、会社の定める奨学寄附金の支出条件を満たす内容であることが確認できると、総務部内で稟議起案を行い、最終決定された案件から逐次拠出していた。
なお、総務部では、奨学寄付金を支出した施設・診療科において支出目的にかなった研究に使用されたかを確認すべく、支出から1年を経過した時点から、営業部門に研究成果の入手を求め、支出と成果の入手の突合を行い、全ての奨学寄付金が支出目的にかなった研究で使用されたことを確認している。

引用:調査報告書

承認ステップを整理すると

  1. 奨学給付金の予算が決まる
  2. 営業部門が取りまとめる。
  3. 総務部が承認する

大まかにはこのステップで承認されています。

一応2014年の製薬協の要請には対応していますが、
記載にもあるとおり、プライマリー部門の予算枠は支店枠が与えられ
各支店で拠出先候補が決められる状況でした。

つまり、営業の介入する余地を大きく残した対応だった訳です。
これにより、営業意図が介入した寄付金依頼が本社まで上がる体制であった訳です。
もちろん総務部が機能すれば防げますが、今回はそれが働きませんでした。
(後述しますが、機能が持たされていませんでした。)

そして次項で詳しく紹介しますが、
本事件は2017年12月ごろから始まります。
そして会社の決済は2018年に行われています。

楽しいチクチク
チクチク
2014年から寄付金に対する改革は始まっていますが2017年末になっても営業の介入余地を残したのは小野薬品の不手際だと非難されても仕方ないでしょう。

実際の承認の経緯

調査報告書が少々わかりにくいので
報告書をもとに会話調で実際の承認ステップを再現してみました。

楽しいチクチク
チクチク
わかりやすくするため所々脚色していますが、
大筋は報告書をふまえています。

教授からの依頼編:2017年12月ごろ

A教授
4月には私が教授だ!
担当者D
おぉ!おめでとうございます!
A教授
ところで御社の
オノアクトに注目しているんだ。
処方を増やしたいが…
研究費が不足していてね…
200万なんとかならない?
全国1位にしてあげるよ?
担当者D
本当ですか!
ボスに聞いてみます!
F所長 &C部長!
どうですか?
C部長
C部長
今年の奨学寄附金の枠は
既に埋まっている時期…
製品は主力じゃないオノアクト…
さらに来年からは
寄付金はWEB申請になるので
介入も難しくなる…
ぶっちゃけ無理だよ!
担当者
担当者D
ビジネスチャンスなのに残念!

本社予算が余っている&本社根回し編:2017年12月末

本社
本社

(部長級会議にて)
本社の寄附金の枠が余っている。
交渉できるところがあれば、
上げてくれ。

楽しいチクチク
チクチク
※そもそもこの時期に
予算が余っていることが異例です。
C部長
C部長

え?まじ?
本社は余ってるの?
例の寄付できるかも?

プライマリー製品企画部のE部長!
三重大の件って
寄付趣旨に合致しますか?

E部長
プライマリー製品企画部
E部長

合致する!
(この人が重要な決済者)

C部長
C部長
でしたら(経緯書いた)
レポート送ったらいいですか?
E部長
プライマリー製品企画部
E部長
送って
C部長
C部長
かくかくしかじかで
本社にあげるから
Dさんレポート作って!
D担当者
承知しました!
即日作りました!
C部長
C部長
お!よくできとるやんけ!
ただココなおしとき!
D担当者
即、修正します!
翌日できました!
メールで送ります!

【メール】
宛先:C部長
CC:F所長

ご指摘いただきました部分を修正しました。
三重大学臨床麻酔部のOA市場拡大について』をお送りします!

添付ファイル:三重大学臨床麻酔部のOA市場拡大について」

「・・・A先生から「条件次第では、OAを全国大学1位にしてあげるよ」と言っていただいています。
この条件は、現在、4月から新たに医局体制(外部から4人の麻酔科着任予定)を組むにあたり、奨学寄附(200万)をしてほしい、と懇願されています。A先生からは、「私は必ず結果を出す男です」との言葉を得ており、○○所長からも防衛医大当時のPG5の爆発力を伺うと、信憑性の高いものと考えております。以上、三重大学を大量処方先へ変革させる二度とないチャンスと考えておりますので、なにとぞ、ご検討の程、お願い致し ます。」

引用:調査報告書

「市場規模(月間)
全麻酔件数 300 件
現在実績 84 万(10‐12)
・心臓手術(CABG・弁形成)12 件(術中 150mg・ICU3γ×3day)108万
・大血管・主幹手術(緊急含む)3 件(術中 150mg・ICU3γ×3day)27万
・食道・肺切除(2 葉以上)8 件(術中 150mg・ICU300mg)48 万
・その他心リスク合併手術 HR↑30 件(術中 150mg)48 万
計223万
300 万以上の実績を見込んでいます。」

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
ここ!!バリバリ営業目的ですね…
本来ならばF所長並びにC部長はブレーキ役になる必要がありますができていません…
組織として寄付金を営業の手段と考えていたのでしょう。

Cのメールを見れば、極めて露骨に処方誘引のため であることが記載されている。
したがって、このような申請をみれば、責任者は少なくとも申請の方法を変えるよう示唆するなどして、とがめる行動は取るであろう。にもかかわらず、何らのリアクションもなく、漫然と申請が決裁されているのである。
引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
でも少なからず気づいていた人はいるようで…

Dによれば、メールに添付したレポートについても、その記載内容に問題意識を全く持っておらず、平成31(2019)年3月に本社営業本部のある部長より、「レポートに関してですが状況をご報告いただく上では必要ですが、昨今の環境から教室との関係と寄付に関しての記載は控えられた方がよいと思います。」とのメールを受け取った際、こういっ た内容のメールを送ってはいけないのだと初めて認識したという。

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
まぁ止めるべくところで
止められていないんで
意味ないですけどね…
ただ残念ではあります。さぁ本筋に戻ります。
C部長
C部長
E部長レポート送ります!
(CC:F所長&D担当者)

「お疲れ様です。三重大の麻酔科次期教授から添付のファイルのような提案を受けています。
過去の当社とのおつきあいから考えても今回の次期教授からの申し入れに応える事でOA実績の拡大は間違いないでしょう。
ご検討のほど何卒宜しくお願い致します。」

引用:調査報告書

本社
E部長の部下G

C部長 ご連絡ありがとうございます。
社内にて検討させていただきます。
(同じ部署のI &Hさんコレみとって)

「標記の件、担当のDに連絡をした情報を補足させていただきます。
教授選について・・・A先生の他4名の候補がたっているが、出来レ ース的な状況である・・・奨学寄付の対応時期・着任後がベストなタイミングだろうと事でした 営業部対応を含めた考え・どこで対応するかは別として、重要な案件としてスピード感をもった対応が良いだろうとの事で連絡をいただいたとのことでした。」

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
このタイミングで
少なくともE部長の部下は
本件を重要な案件として
反応しています。

決済編:遅くとも同年2月15日ごろ

C部長
C部長
E部長メール見てもらいましたか?
E部長
プライマリー製品企画部
E部長

いいよ、あれで通して。

C部長
C部長
よし!許可取れた!
Dさん申請資料作って!
D担当者

研究助成金申請書作成!!
C部長、F所長、
中部営業部戦略推進部長
3名の押印済み!提出!

本社
総務一課員
その他2名
総務部長
経営管理本部長
営業本部長等々
チェック&押印!!
決裁!!
200万円振り込み!
補足:総務部の機能が不十分であった
決済まで終わったところで
少し横道にそれますが、2つ補足として紹介いたします。
まずはこの時の総務部の対応についてです。

総務部においては、既に営業部門における回覧がなされ、 営業部門において候補先を絞り込んだ結果である
との認識のもとに所定の審査を行った上で手続が進められた。

引用:調査報告書

 

会社で決められた所定の審査を行ってはいるんですよね。
でも本来製薬協から求められた運用だと
営業部門から独立した組織が利害関係を
確認した上で
寄付の可否を決定する
とされていますが、
所定の審査では、リスクを完全に排除できなかったといえます。

「奨学寄附金提供に当たっては、社内の営業部門から 独立した組織において利益相反を十分確認の上決定すること」とされているものの、それは総務部において「自社医薬品に関する臨床 研究」に当たる場合ではないか、「利益相反にはならないか」を確認するチェック機能を持たせるという意味にとどまっているのである。

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
つまり申請の背景までは
チェックの対象外であった訳です。
そう言った意味でも
営業部門の意志が反映されやすい決済方法だったといえます。
チク子
なお営業的な意思を排除するために
現在ではWEB方式で研究者が
直接申請する方法が
導入されています。
悲しいチクチク
チクチク
総務部は会社の言った通り
対応しているので、
責任はそう言ったシステムを
選んだ会社にあると言えます。
チク子
実は2018年から
導入予定だったんだけど
他社と比べると
決して速くはない…のよね!

【各社WEB申請への移行時期】
2015年 武田薬品工業、アステラス製薬
2016年 田辺三菱製薬
2017年 塩野義製薬ほか4社
2018年 大日本住友製薬、エーザイ等
調査報告書から作表

 

補足2:E部長の供述

そして問題があるなと感じるのはこちらです。
個人的に少し感傷的になったポイントでもあります。

怒ったチクチク
チクチク
営業部で決済する立場にある
プライマリー製品企画部E部長の
本件に関する供述です。

Eは、一貫して本件についてCから本社の予算余剰枠からの奨学寄附金拠出の候補になり得るかどうかの相談を受けた記憶はなく、
ましてや奨学寄附金拠出の了解をした記憶もない旨述べている。

引用:調査報告書

怒ったチクチク
チクチク
まさかの
知らぬ存ぜぬ!!

振り返りですが小野薬品の決済手順は

担当者が本社営業本部へ提出
→本社営業管理部担当者受領
→営業管理第二室室長
→営業管理部部長
→新薬推進部部長
→営業戦略統括部部長
→プライマリー製品企画部部長
→営業本部本部長
→総務部での審査を経て最終決定

この順序で回覧され審査されます。
間違いなく、E部長の元は通っています。

さらにC部長からE部長に宛てた確認のメールに
部下であるG I Hは反応し対応をしている訳です…

怒ったチクチク
チクチク
この状況で知らないは
あり得ないですよね?
どう考えても責任案件でしょう…
チク子
クソダラァ!!!
でも報告書でも
厳しめに糾弾されているわね。

当委員会としては、先にも述べたとおり、三重大学医学部への拠出を実質的に決定したのはEを措いて他には存在しないと認定した。Eは問題のメールを見た覚えがない、三重大学医学部への拠出を了承した覚えはないと述べているが、プライマリー統括部の責任者としては到底信じ難い弁明であるし、たとえCのメールを開封していないとしても、支店長会議の際のやり取りまでも否定することはできないであろう。したがって、E には三重大学医学部への奨学寄附を容認した責任者として、その責任は免れ難いと考える。

引用:調査報告書

 

その後:A教授オノアクトをぶん回す編

A教授
A教授
Dさんはやってくれた!
約束通り全国1位にしなければ…
スタッフにメールしよ!
【メール】
小野が3月に200万いれてくれることになった。
・なんとか小野にはうちの主力になってもらいたいので、オノアクト使用量全国トップを目指したい。
・ちょっと資料添付するよ。三重大の症例数から考えた予想。
・4月からは、全身麻酔症例で、抜管時頻脈予防・治療で50mg1A を基本に(使わなくとも)目立たないように、増やしていきたい。
・最終的には上室性不整脈予防と心筋虚血予防ってことで、ICU症例でぶん回したい
・担当症例で、考慮してくれ。
・以上は公には話しづらいんで。とにかく研究でのし上がりたいので、背景を理解してうまくやってくれ。
喜ぶチクチク
チクチク
ぶん回すってw
チク子
でも実際、すごい勢いで
売り上げが伸びていくのよね。

同年4月頃から、自らが担当する手術以外の手術において、使用するしないにかかわらず、50mgバイアルのオノアクトを溶解して準備するなどの工作をするようになり、さらに、同年10月頃からは、150mgバイアルのオノアクトも溶解して準備するなどしていた。しかも、その多くが廃棄されるという事態になっていた。
(DもCもこの廃棄の事実は全く認識していなかったと述べる。)

引用:調査報告書

【売り上げの推移】
2017年上期:44万円
2017年下期:65万円
2018年上期:106万円
2018年下期:139万円
2019年上期:247万円
2019年下期:248万円

このように問題発覚の2020年まで伸び続けています。
しかしながら、過度にぶん回す行為を行なった結果、
B准教授の処方違反が判明。

三重大学医学部附属病院がB准教授らを
刑事告発したことにより本事件は発覚する訳です。

逆に言うと、A教授らが『ぶん回す』行為を行わなければ
公務員の行動を縛った契約にはならず、供収賄に当たらなかったんです。
普通の寄付金として処理されていたんですね。

実際、C部長もD担当者も
まさか廃棄してまで実績を作っていたとは
全く認識しておらず、調査結果にも

Dによれば、本件に関し、当時は、自身の行っていることについて問題があるとの罪悪感は持っていなかったとのことである。
平成26(201 4)年頃からディオバン事件を契機に業界に変化の動きがあったこと自体は認識しており、当時、奨学寄附の対象となる研究テーマが自社製品に関 連するものであれば問題であること、医師個人へ寄附金を提供することは問題であることは十分に認識していたものの、本件については、個人では なく国立大学への寄附であることもあり、何ら問題意識を持っていなかっ たという。
Cもまた、奨学金寄附の対象となる研究テーマが自社製品と関連しては いけないとの認識は強く持っており、社内で強く注意喚起されていたが、 本件の三重大学医学部への寄附については何ら問題意識を持っていなかっ た旨述べる。

確かに、Dらは、A教授から、同人が立ち上げた団体であるBAMエン カレッジメントへの寄附を強く依頼されたものの、これについては問題が あるとの認識で上位者に相談し、結果これを拒絶し、寄附に至っていない。

引用:調査報告書

ココまで長く紹介してきましたが、上記の経緯から

小野薬品は悪事を知っていたの?
と言う問いに対しては

会社は寄付の概要を知ってはいましたが、
供収賄が発生するリスクとは捉えていなかった。

怒ったチクチク
チクチク
このように考えるのが
妥当でしょう。
余談:法を犯してまで約束を守る医師なんているの?
楽しいチクチク
チクチク
ココからはMRとしての感想なので、
話半分に
聞いてもらいたいのですが…
A教授悪い方向で律義すぎますね…
非常に親分派だな正確だっだのか…
はたまた寄付金に困っていたのかもしれませんが…99.9%の医師は大々的な不正請求なんてしませんし、
ましてや使っていない薬を請求したりすることはあり得ません。もちろんMRと約束することはあるでしょうが、
それはあくまで医療倫理の中での約束です。患者にもメリットがないと約束は履行されないと言うのは
医師だけではなくわれわれ薬屋にとってもある種の共通認識になっています。小野薬品がリスク管理ができていなかったことは当然ですが
A教授のなかば暴走とも捉えられる行為に巻き込まれたとも感じられます。
楽しいチクチク
チクチク
当たり前ですが、法を犯してまで
約束を守る医師なんて存在しません。
というか医師どころか、
クリーンな世界で生きている人は
基本そうでしょう。

小野薬品の問題点は結局なに?

小野薬品の問題点は結局なに?

調査結果方向所では最終的に小野薬品の問題点を4つあげています。

  1. 本社予算枠の消化のための拠出先の募集であったこと
  2. 総務部門における審査の内容
  3. 稟議書には全ての回覧者のチェックの形跡が残されていないこと
  4. 奨学寄附金の申請にあたって、MRのレポートの存在とその目的

     

楽しいチクチク
チクチク
内容の進行上
あえて紹介を避けた部分も
ありますので
簡単の内容を解説します。

本社予算枠の消化のための拠出先の募集であったこと

プライマリー部門が本社枠の予算消化のため急遽営業部に募集をかけたという異例の事案であって、社内的には、むしろこの時点に至って余剰枠を発生させ、その消化を急いだプライマリー製品企画部の拠出計画にも問題があったという指摘

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
そもそもプライマリー部門の
お金の管理が
ずさんだったってことですね。

総務部門における審査の内容

総務部に回付されてくる4点セットには、「研究助成金申請 書」や「覚書」に「研究テーマ」という項目があるが、具体的な研究内容を記載すべき項目はなく、そのほか具体的な研究内容やその目的等を示す 資料等も提出を求められていないとのことである

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
さらに営業の選出が
力を持っているため、改めて
背景や実体に踏み込んだ審査をする
運用にはなっていなかったのは
前述の通りです。

稟議書には全ての回覧者のチェックの形跡が残されていないこと

奨学寄附金拠出の最終決定 に関する資料であると思われる「稟議書」には、総務部の職員のほか、経営管理本部本部長の押印が確認できるのみであり、実際に回覧されている営業部門の回覧印が押印されるメモも残っていなかった。

これは本件についてのみの事象ではなく、小野薬品の奨学寄附金拠出の一般的な手続として残されていないようである。

このように営業部門の職員が4点セットや稟議書に押印せず、また、回覧したことを示す回覧印のメモも残されていない理由は判然としないが、 ディオバン事件の影響もあって、営業部門が表立って押印することで営業 部門の関与が強く印象付けられるのを避けるためであろうか。

細かい点で はあるが、総務部門と営業部門とで責任の分担について十分に認識されているようには思えない。

引用:調査報告書

チク子
最終的に誰の責任なのかわからないようにしてると捉えられるわよね。
怒ったチクチク
チクチク
実際、今回の問題で
刑事責任に問われているのは
実行部隊のDとC部長だけなので
目論見は成功しているのかもしれない。

 

奨学寄附金の申請にあたって、MRのレポートの存在とその目的

本件においてDが作成し、Cが本社に上げたレポートは 本件における特異なものであるのか、あるいは他の事案でも同様に作成さ れているのか検討するため、本件以外の奨学寄附金申請時の資料の開示を受け、検討したところ、一部のものに本件と同程度まではいかずとも、奨 学寄附金拠出を本社に依頼するに当たって有利な営業活動が見込めることを説くものが認められた。 このようなレポートを作成して本社に提出する趣旨は、Cによれば、本社での拠出決定を得やすいようにするためとのことである。

〜中略〜

現場の MRにおいては、奨学寄附金拠出の決定を得るためには、レポートによっ て本社に営業活動にどれほど寄与するかを訴えることが重要であるという 意識が存在していたことが読み取れる。

引用:調査報告書

楽しいチクチク
チクチク
本来介入してはならない
寄付金の意思決定に
営業の意志が介入しやすい状態に
なっていたことがうかがえます。
チク子
寄付金の承認体制に
営業の意思を残した
小野薬品の不手際と言えるわね。

まとめ

まとめ

調査報告書をもとに三重大学病院麻酔科不祥事と
製薬会社の寄付金について紹介しました。
・製薬会社の大学に対する寄付金ってなに?
・小野薬品は知らなかったったの?
・結局、小野薬品の問題点ってなに?

と言う疑問はクリアになりましたでしょうか?正直MRとしてはかなり考えさせられる事件でした。
さらに8月10日のRISFAXによるとC部長とD担当者は諭旨解雇となったようです。

正直、会社が組んだシステムの不備×風土の不備×教授の暴走が起こした事件なので
寛大な処置が欲しかったところですが、刑事事件ともなると難しいのでしょうか…

楽しいチクチク
チクチク
懲戒ではなく諭旨解雇なので、
おそらく退職金が
満額支払われるのが唯一の救いです。
チク子
会社にいづらい可能性もあるしねぇ…
悲しいチクチク
チクチク
正直
トカゲの尻尾切りのように見えて、
後味の悪い事件となりました。
チク子
Eさんはどうしたの???

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