医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの解説【MRと製薬会社を縛る鎖】

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの解説【MRと製薬会社を縛る鎖】
本記事では医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの策定の経緯と目的を噛み砕いて解説しています!

現在製薬会社の宣伝活動は
史上最大レベルで制限されていることをご存知でしょうか。

どれくらい厳しいかというと

これってどうなんですか?効くんですか?
と聞かれても条件次第では答えることができません。

製薬会社の情報提供の主体である
医薬情報担当者MRは口を揃えてこういいます。
なんもいえねぇ!!

チク子
…なぜそんな状態に
なっているのでしょうか?

直接の原因となる規制が
『医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン』
(通称:情報提供ガイドライン)というガイドラインです。

2018年9月の現行ガイドラインの登場により
MRを取り巻く環境が一変しました。

そこで今回は

  1. なぜこのガイドラインが登場したのか?
  2. 目的と功罪はなんなのか?
  3. そして医療関係者の皆様に押さえて欲しいポイント
悲しいチクチク
チクチク
上記3点を紹介します。
言いたい事も言えないこんな世の中じゃ

 

 

ガイドラインの目的

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの目的

そもそも目的なんやねん?
ガチガチに縛る事ないやんけ?
と思っている方が大半でしょう…

まずは目的を確認してみましょう。

医療用医薬品の適正な情報提供に向け、安全対策の観点からの対応(添付文 書等)に加えて、広告及び広告に類する行為への対応(適正広告基準等)も実施されることにより、医療用医薬品の適正使用の確保が図られている。しかしながら、販売情報提供活動においては、証拠が残りにくい行為(口頭説明等)、 明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用を助長すると考えられる行為、企業側の関与が直ちに判別しにくく広告該当性の判断が難しいもの(研究論文等)を提供する行為等が行われ、医療用医薬品の適正使用に影響を及ぼす場合がある。本ガイドラインは、医薬品製造販売業者等が医療用医薬品の販売情報提供活動において行う広告又は広告に類する行為を適正化することにより、医療用医薬品の適正使用を確保し、もって保健衛生の向上を図ることを目的とする。
引用:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン
チク子
はい!!日本語ややこしい!
誰も読まない!!!
要約すると
医薬品を
ちゃんと使うための活動はされています。
しかし不適正使用を
助長する行為が確認されています。
(証拠が残らない口頭説明、間違った使用方法に誘導する行為、企業関与がわかりにくい研究論文の提供等)
こういった行為は医薬品の
適正使用に影響を及ぼす可能性があります。
本ガイドラインは
製薬会社が薬の宣伝活動を適正化することで
ちゃんと薬を使って、
保健衛生の向上を図ることを 目的としてます。
怒ったチクチク
チクチク
お前ら違反してるやろ?
襟ただせや!!って事ですね。
必要な目的です。

対象は?

対象についてもガイドライン内で当然明言されています。
(1)本ガイドラインは、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・ 提携先企業(いわゆるコ・プロモーションの相手先企業を含む。)及び医薬 品卸売販売業者(以下「医薬品製造販売業者等」という。)が医療用医薬品 について行う販売情報提供活動を対象とすること。
(2)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動」とは、能動的・受動的を問わず、医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安 全性の認知の向上等による販売促進を期待して、当該医療用医薬品に関する情報を提供することをいい、医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発 (一般人を対象とするものを含む。)することも含まれること。
(3)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動の資材等」とは、販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わないこと。
(4)本ガイドラインは、医薬情報担当者(「医薬品、医薬部外品、化粧品、医 療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(平 成 16 年厚生労働省令第 135 号)第2条第5項に規定する者をいう。)、メデ ィカル・サイエンス・リエゾンその他の名称やその所属部門にかかわらず、 医薬品製造販売業者等が雇用する全ての者等に対して適用されること。
(5)各医薬品製造販売業者等及びその関連団体は、本ガイドラインをベースに、 自社又は関連団体において自らに適した規約を別途作成し、これを自社や 会員企業の役員・従業員に遵守させること。その規約は、本ガイドラインの定める事項にとどまらず、更なる自主的な取組に関する事項を含み、かつ、 遵守すべき事項を具体化したものであること。
引用:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン
楽しいチクチク
チクチク
ざっくりまとめます
  1. 宣伝活動全てが対象です。
    (厚労省:全部だよ!!クドクドいうな!ウルセェから次項で逃げ場なくすな!覚悟しろ!!)
  2. 薬の販売促進を期待する行為は能動的受動的含めて全て対象です。
    (言い訳許しません!)
  3. 販売情報提供活動の資材等とは全てです。
    口頭説明も含みます。
    (相手の受け取り方が全てです。言った言わないは全てお前の責任な!)
  4. 営業だけでなく製薬会社の全社員が対象です。
    (営業以外ならOKとかじゃないからな?。部門分けてもダメだぜ?)
  5. 自社規約作って守らせなさい
    (決めたから運用は自分でよろしく!私、忙しいので!)
女性
お上
薬屋全員規制するし、
失敗も全部自己責任な!
ミスらない様に自己監視しろよ!!
悲しいチクチク
チクチク
き…厳しすぎるぜ…

できることは?(許されること)功績は何?

ここまでを再度まとめると

怪しいことすんな!!
社員全員規制するわ!!といった内容です。

当然できることは厚労省が決めた
『怪しくないこと』です。

怪しくない事も明確に規定されています。
同様に引用します。

① 提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量等の情報は、承認された範囲内のものであること。

② 医療用医薬品の有効性のみではなく、副作用を含む安全性等の必要な情報についても提供し、提供する情報を恣意的に選択しないこと。

③ 提供する情報は、科学的及び客観的な根拠に基づくものであり、その根拠を示すことができる正確な内容のものであること。その科学的根拠は、 元データを含め、第三者による客観的評価及び検証が可能なもの、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの(承認審査に用いられた評価資料や審査報告書を含む。)であること。

④ 販売情報提供活動の資材等に引用される情報は、その引用元が明記されたものであること。また、社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであるこ と。なお、社外の調査研究については、「臨床研究法」(平成 29 年法律第 16 号)、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成 26 年文部 科学省・厚生労働省告示第3号)その他これらに準ずる指針等を遵守した もののみを使用すること。

引用:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン

 

1つめは、
薬の効能、効果、用法、用量情報は
承認された範囲内である事
→日本で認められた使い方しか話してはいけない!!

海外で有用な使い方があったとしても
日本で認められている方法と
少しでも齟齬があれば紹介してはダメ。
※食後が食間になっていたり
飲み方が少し違うだけでアウト

2つめは、
有効性だけでなく副作用情報も正確に伝えなさいよ!
まぁこれは当たり前かな…
揉み消しとか…そういう事やめろよ!!って事です。
製薬会社のほとんどは守っていますね。

3つめは、
提供する情報はちゃんとした
論文になっている客観的評価をもらったデータだけ!
(MRは文献を依頼なく直接持っていくのは禁止されています。)

4つめは、
営業資材には引用元記載してね!
んで会社の息がかかっている場合はその旨も記載しろよ!
社外データもちゃんとしたの選べよ!

楽しいチクチク
チクチク
要は少しのブレも許しません!
考察とかいらないんで!
文献になった科学的に間違いないものだけを使ってください。
って感じですかね。

この他にも積極的にやるべきことや、
やっちゃいけないことが書かれていますが、
大筋は上記内容からの派生
と思ってもらって大丈夫です。
ポイントはあくまでも
科学的に明確なものだけをお願いします!
というものです。

 

これによって医療用医薬品の適正使用を確保し、
もって保健衛生の向上が図られるのは間違いないでしょう。

そもそも客観的評価の伴わない不確定な情報は
医薬品を使う患者の利益に直結せず、
不利益を与えてしまう可能性を内包しています。

このガイドラインが適性に運用されれば、
こういったリスクを排除することが可能です。

楽しいチクチク
チクチク
これは明らかな功績です。

罪は何?

罪は何?

ガイドラインによって、MRに生じた最大の変化は
添付文書とインタビューフォーム、それに準ずる資料しか
紹介することが出来なくなりました。

もっとわかりやすくいうと、
会社が作った資料に書いてあることしか
言えなくなってしまいました。

医療従事者とコミュニケーションをとる中で
自社の資料を使って紹介しますが、
その中に書いてないことは答えられません!!

通常、疑問の多くは書いてあることだけでは
解決できないため生じます。
それを回答することができません。

特に薬の調整に関連する質問は
薬剤師さんから非常に多くいただけます。

頂いた質問に直結するデータを
会社が持ち合わせていたとしても、
そのデータが論文化されていない場合、
提供することができません。

また医学的論理で考えて全く異常な使用方法でなくとも、
それに関する質問に答える事も
ディスカッションする事ができません。
(MSLと言う職種に繋ぎます)

こういった場合の回答はいつも同じで
承認された用法用量外の使用なので
お答えできかねます。
です。

一応、承認外であっても副作用関連の情報ならば、
承認外であることを納得いただいた上で
案内することは可能ですが、
その都度承認外である旨を正確に伝えなければなりません。
※伝えていても、聞いていない!と
顧客に言われたら一発アウトです。

 

安全性以外の情報で
詳細なディスカッションを顧客が希望された場合は
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)という
別職種の社員が紹介に当たりますが、
プロモーションに関連する場合は
MSLも同様にガイドラインに縛られてしまいます。

それでもガイドラインに通常の販促活動と切り分けた上で、
確実なデータを提供するのならば
適応外も情報提供可能という記述があるため、
そういった業務もこなす存在としてMSLがいます。

彼らはガイドラインを遵守しながら
販促活動と切り分けられた存在として
MRの情報提供をカバーしています。

楽しいチクチク
チクチク
MSLは同じ様にガイドラインに苦しみながらも
MRの穴をカバーしてくれるありがたい存在です。

ご覧の様にMRは自社品に関する未知の事柄に関しては
安全性情報をのぞき、
迅速にディスカッションできない状態になっています。

一回一回顧客が承認外であることを
理解しているか確認した上で、
有効性に関する質問なのか?安全性に関する質問なのか?
それぞれ判断しながら話しています。
場合によってはMSLに繋ぐため
さらに時間がかかる様になりました。

チク子
気が短い顧客ですと
『お前らなんも言えないな!時間かかるんだったらいいよ!!』
とご迷惑をかけています。
悲しいチクチク
チクチク
残念ながら聞けばなんでも直ぐに答えるMRは絶滅してしまいました。
情報の確実性の代償ですが、
迅速性を奪ったというという罪の側面もガイドラインは抱えています。

【お願い】医療従事者の皆様に押さえて欲しいポイント

【お願い】医療従事者の皆様に押さえて欲しいポイント

ご覧いただきましたとおり、
MRは規制で雁字搦めの状態です。
知っていても、言いたくても言えないことが沢山あります。

怒ったチクチク
チクチク
言いたい事も言えない
こんな世の中じゃ…
チク子
ポイズン!!
明らかに未承認、承認外の情報だな!とお考えの際は、
会話の冒頭で『未承認の話なんだけど』
と前置きしていただけるとめちゃくちゃありがたいです。
(微妙な場合は普通に話していただいてOKです。)
こうしていただきますと
『あ、未承認の話だな。対応方法考えながら話そう!!』
という思考回路に変わります。
恐らくそうしていただいた方が
無駄な会話や手間が掛からず
欲しい情報にたどり着き易くなります。
そして、承認外で欲しい内容の情報がある場合は、
明確に『こういうデータが欲しい』と
意思表示していただけると尚ありがたいです。
さらに、
そのデータを使う目的と背景があると尚ありがたいです!!
(勝手なお願いなのは重々承知です。)
というのも未承認の情報提供を行う場合には
以下規則があります。
・医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと。
・経緯、提供先、提供内容等、情報提供に関する記録を作成し、保管すること。
引用:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインから一部抜粋
顧客の明確な求めと、経緯の記載が必要
なんです!!
これをミスると人事評価に大きなバツがついてしまいます…
故にコレができていないと
次の未承認情報提供手順に進めません!!
MRはなんとか言質を取ろうとしますので、
医療従事者の皆様は
無駄な時間を過ごしてしまうことになります。
楽しいチクチク
チクチク
こういったことを避けれますので、
明確な意思表示をいただけると
凄くありがたいです。

あとがき

一昔前は医師の質問に瞬時に反応できるというのは
MRの質を表す大きなバロメーターでした。

しかし、現在では瞬時に反応すると
言ってはいけない知っている情報を
話してしまう可能性があるため、
どうしてもワンテンポ遅くならざるをえない状況です。

目的が必要な目的ですので、
なかなか元どおりにはならないでしょう。

それでも私は医師と気兼ねなく
沢山ディスカッションしていた昔に
思いを馳せてしまうのです。

悲しいチクチク
チクチク
いつかもう少し自由に話せる
未来を夢見て
今回は筆をおきます。ポイズン…

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