本記事では
世界5大医学雑誌って何?
という人にむけて
お役立ち情報を送ります。
実は先日
こんなツイートをしました!
【新人あるある】
高名な医学雑誌である
New England Journal of Medicineがイギリスの雑誌だと思っている🥺ソースはワイ🤣
— チクチク@お薬ブログ (@mrnetinfo) May 11, 2021
多分なんですが、
医薬品業界でも
実はよく医学雑誌のことわかってない!
って人が実は多いと思うんです…
バリバリの研究者で、
雑誌掲載を狙って
研究した経験がある人なんて、
ひと握りですし、
これ狙っている人って
研究者の道にどっぷり浸かっていて
MRにはならないんですよね。
これが、新入社員や若手社員ならば
さらに当然です。
そこで今回は
これだけ知っておけば
恥はかかないというレベルで
医学雑誌の概要をまとめてきました。
本記事のポイント
有名医学雑誌の基本知識が得られます。
医師は当たり前のように
知っているからね!
恥かかないように
しときましょ!
世界五大医学雑誌
まずは五大医学誌を確認しましょう!
- New England Journal of Medicine(NEJM)
- The Lancet
- Journal of the American Medical Association(JAMA )
- British Medical Journal(BMJ )
- Annals of Internal Medicine
見たことあるものばかりね
なんだ!
知っている
医学誌ばっかやんけ!
という人は
ここで終わりで大丈夫です!
付録として各誌の
Twitterアカウントと
それをまとめた
Twitterリストを紹介します。
付録:各誌のTwitterアカウント &リスト
BMJだけは
ツイート頻度が高すぎて
他が埋もれてしまうため、
リストからあえて
抜いています。
ご了承ください!
\ 超有名医学誌リストをTwitterでフォローする/
ここから基本知識と
各誌の簡単な紹介を
していきます。
インパクトファクターとは(基本知識)
まず、本当によくわからない方のために
インパクトファクター(IF)を
紹介させてください。
IFは論文を掲載する
雑誌の価値を示す指標です!
ざっくりいうと
雑誌の権威性を表す
戦闘力みたいなもんです。
過去2年間に雑誌に掲載された論文が
今年引用された数を示します。
なので毎年変わります。
さらに
Web of Scienceという
論文検索データベースに載る雑誌のみが
計算対象になるので、
IFが存在しない雑誌もあります。
IFの計算式は
雑誌に一昨年&昨年掲載した論文が今年引用された回数/(一昨年掲載した論文数+昨年掲載した論文数)
つまり、2年で100論文がのる雑誌が
あったとして、
それが今年、他の論文にて
500回引用された場合の
IFは5です。
この雑誌に2年間で掲載された論文は
平均5回は他の論文に
引用されているわけです。
ちなみに、この5という数字も
かなりすごい数字でして、
教授の公募の際の足きり基準が
掲載された雑誌の
トータルIFが年間15とか
だったりするレベルです。
このレベル感は、
へーくらいに
覚えておいてください。
後半での物差しになります。
他人に引用される論文は
それだけ
重要な論文な訳ですから、
高IF雑誌はより重要な論文を
高密度で載せる雑誌
ってことです。
さぁそれでは
実際の雑誌紹介に移ります!
New England Journal of Medicine(NEJM)
【概要】
国:アメリカ(ボストン)
出版元:マサチューセッツ内科外科学会
2020IF:74.699
特記:医学界のトップジャーナル。神。
The New England Journal of Medicine(NEJM)は,200年以上にわたる歴史を有し,世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌の一つです.医学界のトップジャーナルとして,また情報提供の優れた媒体として,国内外の医師・研究者から高い評価を受けています.今日望みうる最高水準の科学研究が毎週発表される本誌は,ニュース番組や新聞紙上でいち早く本誌の記事が紹介されることも多く,掲載される医学研究論文は各種産業・株式市場といった多方面で強い影響を与え続けています.
日本国内のNEJM有料購読部数は,6,000部にのぼり,ほとんどの医学関連大学,病院図書館,医局で購読されています.国内専門医(循環器,腫瘍学,血液学)を対象とした調査において「職業上絶対に必要,時間を割いてでも読む」雑誌として英文誌でありながら国内雑誌をしのぐ評価を得ています.
掲載されるオリジナル論文の40%以上がアメリカ国外から寄せられ,投稿原稿の年間総数は約3,600件にのぼり,そのうち掲載が認められるものは6%程度にすぎません.採用された論文は未発表のものに限られ,患者ケアの基礎的教義から最新の治療,手術手技を含む医学の最も重要なテーマまで,ホットで信頼できる情報を提供しています.世界全体の総発行部数は,医学雑誌では最大の25万部以上で,しかもすべてが有料購読者に提供されています.
NEJMには,現在アメリカ,日本,国際版があり,毎週木曜日に世界同時発売されています.最新の医学情報をアメリカ本国と同じタイミングで入手することが可能です.1996年より日本国内版には主要論文の日本語アブストラクトが,また1997年からは日本語目次が掲載され,2002年からは今週の本誌の日本語訳も掲載され必要な論文に簡単にアクセスできるようになりました.
掲載論文の引用回数は他の追随を許しません.Journal Citation Reportsが公開するインパクトファクターにおいて,NEJMは70.670と世界医学雑誌ランキング総合医学部門で第一位にランクされています(2019年8月更新情報).
引用:NEJMとは
まずは最も有名な雑誌であるNEJMです。
冒頭のツイートで出てきた雑誌です。
数ある医学雑誌の中のトップと言って
過言ではない医学雑誌です。
2020年のIFは74.699!
載っている論文の多くは
70回以上引用される大きな影響力を誇ります。
この雑誌に載れば教授公募の足きりを
楽々通過できます。
投稿原稿の年間総数は約3,600件にのぼり
そのうち掲載が認められるものは
6%程度の掲載率ですので、
年間200件くらいしか掲載が認められません…
メチャクチャ狭き門です!!
そして発行者はマサチューセッツ内科外科学会…
つまりアメリカの雑誌です!
イングランドという文字のせいで
イギリスの雑誌だと思っている方
実は多いのではないでしょうか?
ぶっちゃけると新人の頃…
私も騙されていましたw
罠よ!!コレは罠!!!
だから間違えて覚えていた人も
今日修正すれば大丈夫よ!!
ニューイングランドは
アメリカ北東部の
- 南へメイン州
- ニューハンプシャー州
- バーモント州
- マサチューセッツ州
- ロードアイランド州
- コネチカット州
上記を合わせた地方の名前です。
そこから出している雑誌なので、
ニューイングランドジャーナルなんです。
なお6ヶ月経た原著にはアクセス可能です。
さらにレビュー等もアカウントを作れば
月2つまでアクセス可能なので
アカウント作成を勧めます。
個人の感想ですが、
ツイートや中身等含めて
読みやすいものが多いです。
その辺も配慮されているのでしょうか。
NEJMを否定する人は
基本的にはいないはずです…
The Lancet
【概要】
国:オランダ(アムステルダム)
出版元:エルゼビア
2020IF:60.39
特記:CELLは同社発行
時々バトル脳。
『ランセット』(英語: The Lancet)は、週刊で刊行される査読制の医学雑誌である。同誌は世界で最もよく知られ、最も評価の高い世界五大医学雑誌の一つであり、編集室をロンドンとニューヨーク市に持つ。
『ランセット』は世界中にかなりの数の読者を持ち、高いインパクトファクターを有する。ことに同誌のウェブサイトTheLancet.comにおいては、1996年の立ち上げ以来180万人以上の登録ユーザーを集めている。『ランセット』は、原著論文、レビュー(”seminars”と”reviews”)、論説、書評、通信に加え、特集ニュースや症例報告を刊行している。
引用:Wikipedia
続いてThe Lancet(ランセット)です。
NEJMと双璧をなす医学雑誌です。
ランセットはエルゼビアという
オランダの出版社が刊行しているます。
意外とオランダの雑誌というのは
知らない人も多い気がします。
ちなみに最初に作ったのは
イギリスの外科医
だったりします。
ややこしいわね!
なおエルゼビアは
CELLという
生命科学系の御三家雑誌
と呼ばれる雑誌も作っている
欧州屈指の学術専門出版社です。
Lancetは個人的なイメージですが、
NEJMに比べてちょっと過激派です。
WHOに喧嘩を売ったことも
あります
WHOに喧嘩を売るだけあって、
その歴史と権威はNEJMにも劣らず
2020のIFは60.39です。
こいつも化け物誌じゃないの…
さらに、高IFな姉妹誌を
たくさん持っていることでも有名です。
Lancetと名のつく姉妹誌一覧
- The Lancet Child & Adolescent Health:小児
- The Lancet Diabetes & Endocrinology:糖尿病
- The Lancet Digital Health:デジタルヘルス
- The Lancet Gastroenterology & Hepatology:消火器&肝臓
- The Lancet Global Health:クローバルヘルス
- The Lancet Haematology:血液
- The Lancet Healthy Longevity:健康長寿
- The Lancet HIV:HIV
- The Lancet Infectious Diseases:感染症
- The Lancet Microbe:微生物
- The Lancet Neurology:神経学
- The Lancet Oncology:がん
- The Lancet Planetary Health:プラネタリーヘルス(人間の健康と環境変化)
- The Lancet Psychiatry:精神医学
- The Lancet Public Health:公衆衛生
- The Lancet Regional Health – Americas:米国エリアの健康
- The Lancet Regional Health – Europe:欧州エリアの健康
- The Lancet Regional Health – Western Pacific:西太平洋エリアの健康
- The Lancet Respiratory Medicine:呼吸器
- The Lancet Rheumatology:リウマチ
ランセットと名のつく姉妹誌を
20も持っています!
さらに関連誌として
という2誌も有します。
前述の
過激派な側面と合わせると
ランセットファミリーは
学術誌のマフィアとも言える
力を持っています。
Journal of the American Medical Association(JAMA )
【概要】
国:アメリカ(イリノイ州シカゴ)
出版元:米国医師会
2020IF:45.5
特記:中立を重んじる運営。
重要なデータのスライドを
1枚で作ってくれる。
すごいわかりやすい。
世界でもっとも権威ある医学会の1つである米国医師会(American Medical Association:AMA)が発行する臨床雑誌である.
引用:南江堂HP
診断,治療への臨床的アプローチを扱ったオリジナル論文によって専門的な知識に磨きをかけ,日々進歩する医学の最新の成果を吸収することができる.
臨床医には欠くことのできない雑誌である.
続いてJAMAです。
最近だと
COVID-19にイベルメクチンの効果が
認められなかった!
という論文を掲載したことが記憶に新しいです。
これを受けて推奨派の方が
ブログで反論するという
珍事も起こっています。
これがどれほど珍事か
ということを
雑誌紹介と併せて
紹介していきます。
JAMAの出版社は
米国医師会です!
そして2020年の
IFは45.5でした。
化け物誌ですよね。
米国医師会ですので
当然アメリカの雑誌です。
そしてJAMAは過去、
運営方法でトラブったことがあり、
その反省を活かし
現在では中立を重視しており、
政治的な意図が絡まないよう
に運営されている点も特徴です。
先ほと紹介した珍事は
米国医師会が査読し
中立が信念の
IF45.5の雑誌に載った
論文vs個人ブログ
という構図です。
ぶっちゃけ勝負になる訳がありません。
個人ブログの主は中立がウリの
JAMAで反論するべきですが、
それをしないのは…何故?
そしてJAMAは広く拡散するべき結果があると、
スライド1枚にまとめてくれるんですが、
それが、わかりやすく綺麗で
参考にさせてもらっています。
A digital intervention for patients with depressive symptoms and comorbid hypertension or diabetes significantly improved depressive symptoms at 3 months compared with enhanced usual care in Peru and Brazil, but the effects were not sustained at 6 months https://t.co/pljv3vLHRh
— JAMA (@JAMA_current) May 12, 2021
NEJMとJAMAのサイトやTwitterは
スッキリしていて
読みやすく好きです。
British Medical Journal(BMJ )
【概要】
国:イギリス(ロンドン)
出版元:BMJ Publishing Group
2020IF:30.2
特記:Twitter運営が五大雑誌イチのツイ廃
BMJは国際的なピア・レビュー医学雑誌であり,記事はすべて「online first」で発表される.
引用:南江堂HPより
BMJの「continuous publication」モデルにより,紙面の印刷がなされる前に,bmj.comに記事がすべて掲載される.
ウェブサイトは,BMJの最新のオリジナル研究,教育,ニュースおよび論評記事,ポッドキャスト,ビデオ,ブログといったコンテンツが盛り込まれ,毎日更新されている.
すべてのBMJのオリジナル研究がウェブサイトに掲載され,字数制限なくオープンアクセスが可能である.
BMJが目指すのは,世界でもっとも影響力があり広く読まれる医学雑誌となることである.
BMJの使命は,健康に関する論議をリードし,医者や研究者,その他の医療従事者が患者の転帰を改善する方法を考えさせ,伝え,刺激し,医師のよりよい意思決定を助けることである.
BMJの編集チームは主としてロンドンに拠点を置いているが,ヨーロッパのその他地域や米国の専門家も編集に参加している.
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルは
イギリス医師会雑誌という名の通り、
イギリスの雑誌です。
NEJMのような騙し打ちではなく、
こっちはちゃんとイギリスの雑誌です。
刊行はBMJ Publishing Groupが
行っており、
2020年のIFは30.2を誇ります。
BMJの原著は全て無料で読めます!
世界でもっとも影響力があり
広く読まれる医学雑誌
という目指す姿が反映されているのでしょう。
社説や総論を読む場合は
有料手続きがいりますが、
1年を超えたものは無料で読めます!
さらに特記するべきは、
BMJのTwitter運営は
ツイ廃です!
(多分これも運営目的の影響)
1日10Tweetくらいする日もあります。
ハッシュタグもベタベタ貼ります。
使いこなしている感じが出ています。
リツイートも多いので
他のリストに混ぜると
BMJ一色になることがあります(笑)
24時間で何ツイートしているか
数えてみてね!
Annals of Internal Medicine
【概要】
国:アメリカ(フィラデルフィア)
出版元:米国内科学会
2020IF:21.3
特記:五大医学雑誌の末席
デザインセンスが好き(個人の主観)
1927年に米内科学会(ACP)が創刊した,一流の内科学雑誌.
本誌の使命は,医学の卓越性を推進し,内科医およびその他の医療従事者が医学界の一員として広い見識をもつことを助け,医学研究の実施と報告の水準を高め,世界中の人々の健康を増進することに寄与することである.
この達成のために,本誌は臨床診療,医療の提供,公衆衛生,医療政策,医学教育,倫理学,研究方法論などに関連する種々さまざまのオリジナル研究,総論,診療ガイドライン,解説を発表している.さらに,医療の感覚および技術を伝える個人の物語も掲載する.133,000人ものACP会員や,世界中の団体購読による読者も含め多くの内科医ならびに研究者から幅広い購読者数を誇っている.
インパクト・ファクターも,世界の医学雑誌のうちのトップクラスに入っている.
本誌への論文掲載にあたっては,ピア・レビューがあり,これには評者データベース中の18,000人以上のボランティアのありがたい尽力が不可欠である.毎月第1・第3火曜日の2回発行.
引用:南江堂HP
Annals of Internal Medicineは
前述の4つと比べると少々影が薄くなります。
というのも前述の4つは
ジャーナル四天王とか呼ばれたりしてますので、
少しだけハブられてます。
他がIFが30超という中、
ちょっと差があるのも事実ではあります。
奴は五大医学雑誌の中で最弱…
というセリフが聞こえてきそうです。
IF20ってフツーに
すごいんですけどね(笑)
個人的にはHPは最もスッキリしてわかりやすく、
内科学会という属性から
ガイドライン刊行も
精力的に行っています。
最近だと
月2ー3回のペースで
ガイドラインを発行しています。
BMJほどではありませんが、
ツイ廃のケがあります。
補足:CA:A Cancer Journal for Clinicians
【概要】
国:アメリカ(アトランタ)
出版元:米国がん協会
2020IF:292.2
特記:インパクトファクターに注目
五大医学雑誌ではないのですが、
コレから多くの製薬会社の主戦場となる
オンコロジー雑誌のトップです。
そして圧倒的な引用率から
チェックしておいて間違いない雑誌です。
というか、IFのついている雑誌内で
トップのIFを誇ります!
IF292.2は異常値でしょう!
NEJMの4倍…
この雑誌は
がんの予防、早期発見、
治療、栄養、緩和ケア、生存率、
およびがん治療に関連する情報を
公開する雑誌です。
6回/年という低出版ながらも、
掲載される論文は平均300回近
く引用される訳ですから、
その影響度がわかります。
特に毎年更新される
がん統計は
引用されまくります。
あとがき
いかがだったでしょうか?
雑誌の概要を確認いただけましたでしょうか?
書いていて思ったのですが、
世界五大医学誌の所属国って
アメリカ2雑誌
イギリス2雑誌
オランダ1雑誌
なんですよね。
アメリカとイギリス
強すぎだろう…
流石すぎる
日本にも1つくらいあればいいのに…
まぁ歴史の問題で今更難しいでしょうが…
ちょっと残念です。
明日から得意先で恥をかく
医療系営業が
少しでも減ればいいなー
と思います。